幹事クリタのコーカイ日誌2017

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10月12日 ● 太平洋戦争を学び直す。

 僕は子どもの頃からの歴史好きですが、やはり小説や映画、ドラマ、それにゲームの影響もあって戦国と幕末にどうしても知識が偏りがちになります。なにせ触れる機会が多いので、否が応でも織田信長や豊臣秀吉、坂本竜馬や土方歳三に詳しくなってしまいます。

 逆に知識が乏しいのが近現代史です。これは学校の歴史の授業であまり教えられていないということが一番の理由で、大抵の場合日露戦争か大正デモクラシーあたりまでで3学期が終わってしまうということが多く、昭和史、特に初期から終戦までは自ら求めて学ばないと、きちんとした知識が得られません。

 と言うことで、今夏に発売された『学びなおし太平洋戦争 日本陸海軍「失敗の本質」』(文春文庫)という全4巻の文庫本を読みました。昭和史の権威である半藤一利が監修していますが、実はこの本の内容は昭和37年に発行された『ジュニア太平洋戦史1〜4』です。ジュニア向けに書かれた太平洋戦争の通史をほぼそのまま掲載し、それに半藤が解説を加えています。

 真珠湾攻撃からシンガポール占領、ミッドウェー、ガダルカナル、硫黄島、沖縄戦、原爆投下、そして無条件降伏までの約4年間、日本軍がいかに戦い、そして敗れたかが詳細に綴られています。時代的にまだ戦争が生々しい時期に書かれており、今ではなかなか感じ取れない戦時中の空気感も十分に伝わってきます。アメリカ側の資料も引いているので、ある程度の客観性も担保されています。

 中国と大陸で戦っていながら、さらにアメリカをはじめとする連合国と戦う無謀さ、兵站を軽視して戦場を広げ、さらには戦争の終わらせ方をきちんと考えていなかった無計画さ、そして神風特攻を筆頭とするあまりにも軽い人の命。今から振り返れば信じられないことばかりですが、戦争を始めた人たちもまた個々には優秀で真面目な人たちであり、それなのにこういう結果を生んでしまったことが恐ろしくなります。

 ジュニア向けとは言え、50年以上前の文章だけに決してすらすら読みやすいわけではありませんが、かと言って難しい本でもありません。北朝鮮情勢が緊迫している今だからこそ、読んでみる価値はあるのではないかと思います。


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