幹事クリタのコーカイ日誌2017

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7月5日 ● 疲れてないのにお疲れさま。

 最近の挨拶の常套句として「お疲れさまです」というのがあります。この言葉、日常的な挨拶として使うようになったのはまだこの10年くらいじゃないかと思います。せいぜい21世紀に入ってからでしょう。それ以前にも「お疲れ様です(でした)」と言うことはありましたが、それは遠くの出張からいま戻ってきた人とか、長時間拘束される会議に出席していた人とか、本当にそういったハードで疲れる仕事をしていた人をねぎらう言葉でした。もしくは会社から帰る人に対して挨拶として「さよなら」ではなく「お疲れさまでした」と言うのが従来の使い方だったと思います。

 ところが今は相手が疲れていようがいなかろうが、単に「こんにちは」「こんばんは」の代わりに「お疲れさまです」と言っているように思います。若い人ほど乱用乱発しています。人に話しかける時の最初の言葉として「お疲れさまです、○○です」みたいな入り方で話し始めるのもよく聞くようになりました。

 またメールでも最初に「お疲れさまです」と書いておいてから用件に入るパターンも多くなりました。書き出しとしては当初はかなり違和感があったのですが、反面なるほど便利な言葉だなとも思います。とりあえず相手をねぎらいつつ、少しこちらもへりくだりつつ、気を遣っている風を装いつつ、というあたりが使いやすい要因でしょう。

 さらに言えば敬語の形を取っていて「です」「でした」を付けられるから目上にも使いやすいということもあります。芸能界が朝昼晩を問わず「おはようございます」なのは、先輩に向かって「こんにちは」「こんばんは」では敬ってる感がないからだと聞いたことがありますが、「お疲れさまです」が使いやすいのもそれと同じでしょう。だから「おはようございます」の代用に「お疲れさまです」は使われないのです。もちろん、朝から疲れてなんかないという理由もあるでしょうけど。

 と言うことで、僕は未だに違和感がありつつもメールなどでは「お疲れさまです」と書くことも増えてきました。言葉というのは常に変わり続けていくものですから、無駄な抵抗をしたところで意味がありません。ただ昔から使っている言葉だと思っている若者も多いかも知れないので、そうではない、使い方が変わってきているんだということだけは、ここに書き残しておこうと思います。


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