幹事クリタのコーカイ日誌2016

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2月17日 ● さよならだけが人生だ。

 自分はもちろん、子どもも社会人になってしまうと、学校とはすっかり縁が切れてしまいますが、この時期は子どもたちにとっては新しい進路を選ぶ時期であり、また間近に迫る別れの季節でもあります。本当に社会人になるとあまりピンときませんけど、何十年か昔のことを思い出すと、いろいろと期待に胸を膨らませたり、逆に悩んだ季節でもありました。

 小学校の卒業文集に恩師の言葉のページがあって、ある先生が「さよならだけが人生だ」と書いていました。「なんて寂しい言葉だ」と驚きました。小学校を卒業するにあたり「また会おう」「いつまでも友達だ」みたいなことを言い合っている中で、いきなり「さよならだけが人生だ」と言われたショックは大きいものでした。

 その言葉を忘れられないまま高校生になって、漢詩を勉強している時に再びこの言葉に出会います。「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」。元の言葉は漢詩であり、それを井伏鱒二が意訳したものだったと知ったのです。小学生の時と違って、さすがに高校生になればこの言葉の意味も理解できるようになります。なるほど、別れの時に友を励ます言葉だったのかと合点がいきました。

 そしてそれから40年。数々の別れを経験してきました。本当に多くの人と出会いましたが、大半の人とはいつの間にか縁遠くなってしまいました。出会った数だけ別れがあるということも実感としてわかるようになり、「一期一会」という言葉も納得のいく年になると、改めて「さよならだけが人生だ」という言葉の妙味を感じるようになります。小学生の自分、そして高校生の自分を振り返り、この言葉を実感できるようになるにはやっぱり経験が必要だと思います。

 などと言うことを考えたのは、「さよならだけが人生だ」というボカロ曲を聴いたからです。若い子の心にも響くフレーズなんだなぁと、そのキャッチーさに改めて感心しました。井伏鱒二はコピーライターになっても一流だったでしょうね。


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