幹事クリタのコーカイ日誌2016

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10月28日 ● アリバイ作り広告だけど。

 車内で化粧する女性にダメ出しをする鉄道会社のマナー広告に対してネット上で賛否が渦巻いています。化粧するなんて「みっともない」と言う人もいれば、「迷惑をかけているわけじゃない」と言う人もいます。いろいろな意見があるのは当然ですし、むしろどちらかに偏ることの方が怖いので、賛否両論があるのは悪いことではないと思います。

 ただこの手のマナー広告はいったい誰に向かって発信されているのかと考えると、一見車内で化粧している女性に向けているようで実はそうではありません。なぜなら車内で化粧をする女性はこんな広告を見たって反感を覚えるだけだからです。「みっともない」と思っている女性は、そもそもそういう行為はやりません。

 この広告の本当のターゲットはクレーマー対策だと思います。要は「なぜ車内で化粧するような女を野放しにしておくんだ!鉄道会社の怠慢だ、車掌が注意をしろ!」などというクレームをつけてくるクレーマーに対して「わが社ではこういう対策をやっております」というアリバイ作りです。昨今の鉄道会社はクレーマー対策に頭を悩ませているようですから、少しでも自分たちへの当たりが柔らかくなることを願っているのでしょう。

 同じような効果を狙った広告はお役所や電力会社などのような公共的な事業をしているところもよく出しています。選挙管理委員会の「投票促進キャンペーン」とか、警察の「交通安全キャンペーン」なども実効性よりもアリバイ作り(もしくは予算消化)の意味合いの方が大きいでしょう。「投票率が低い、選管は何をやってるんだ!」と文句を言われないために「こうしてキャンペーンをやっています」と見せなければなりません。

 これらのアリバイ作り広告というのは、無駄と言えば無駄ですが、でも他に有効な手立てがないならやらないよりはやった方が良いだろうという意味では存在意義はあります。そして、どうせやるなら当たり障りのない本当に「やってるだけ」の広告よりも、賛否両論が巻き起こって話題になるような広告にした方が、みんながそれぞれの問題として考えてくれる可能性が高いわけですから、冒頭の鉄道会社の広告は僕は頑張ったなと思っています。


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