大橋巨泉が亡くなりました。長きにわたって日本のテレビ界を牽引してきた１人と言っていいでしょう。「はっぱふみふみ」「１１ＰＭ」「お笑い頭の体操」「ゲバゲバ９０分」「クイズダービー」「世界まるごとＨＯＷマッチ」など、まさに昭和のテレビを代表する人物でした。単なる司会者ではなくジャズや競馬、麻雀、ゴルフなどにも精通していて、大人の男性の遊びを世間に認知させた文化人でもありました。

　巨泉の態度のでかさを嫌う人も多かったと思いますが、子どもの頃からずっと見ている僕にはそれが自然であり、それが巨泉だと思っていたので特に嫌悪感もなく受け入れていました。だから逆に巨泉の下にいた小倉智昭なんかが偉そうにしていると「お前ごときが」と感じてしまいますが。それに巨泉には何とも言えない愛嬌があり、それが偉そうな態度をしていても許せたのかなと思います。まあ「野球は巨人、司会は巨泉」だけは中日ファンとして面白くはなかったですが。

　それにしても近頃は僕が子どもの頃によくテレビで見ていた芸能人が次々と亡くなります。巨泉の前には永六輔、ザ・ピーナッツ（ユミ）、ダークダックス（マンガさん）など、みな昭和４０〜５０年代に華々しく活躍していた人たちばかり。巨泉のライバルであった前田武彦（2011年没）、「昭和九年会」のメンバーだった愛川欽也（2015年没）、親友だった大平透（2016年没）なども近年亡くなっていますし、みなまさに僕の親世代にあたる年齢の人たちなので、次々と鬼籍に入るのも仕方ないのですが、ひとつの時代の終わりを感じ、寂しい思いがします。