幹事クリタのコーカイ日誌2016

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7月7日 ● フェデラーという壁。

 昨夜のウィンブルドン準々決勝。フェデラーとチリッチの試合は今大会ベストマッチにあげてもいい大熱戦でした。最初の2セットはチリッチがアグレッシブに攻撃をし、フェデラーを打ち砕いて2セット連取。しかし、これで終わらないのがフェデラーのすごさ。3セット目3-3からの第7ゲーム、フェデラーサーブで0-40のトリプルブレイクポイント。このゲームをフェデラーが落とせばチリッチの勝利は決定的だと思いました。ところがこの土壇場でフェデラーはセカンドサーブでポイントを重ねてキープしたのです。

 フェデラーのセカンドサーブはファーストと変わらぬ威力と精度があって、全盛期は本当にファーストが入らなくても全く問題なかったのですが、昨日はそんなフェデラーがカムバックした感じでした。4セット目でもマッチポイントを握られながら、それをセカンドサーブで挽回していきました。よくあの場面であれだけのセカンドを思い切って打てるものだと、テニスをしているものなら誰しも思うことでしょう。マッチポイントでダブルフォルトして試合に負けたらアマチュアなら大いに悔やむところですが、トッププロは置きにいったセカンドサーブを打ち込まれて負けることこそ後悔するのだろうと思います。

 結局フェデラーは3セットを連取して大逆転勝利を収めましたが、チリッチにしてみたら3本あったマッチポイントで積極的に攻撃できなかったことが敗因になりました。フェデラーも決して絶好調ではなく凡ミスも多かったのですが、最後はアグッレシブさで上回ったという印象です。そして、この「攻めていく」姿勢こそが「ポスト4強」世代(錦織、ラオニッチ、チリッチら)が超えられない壁なのだと思います。

 フェデラーとチリッチの前回の対決は2014年全米準決勝。この時にチリッチは初めてフェデラーに勝って決勝に進み優勝しました。もう一方の準決勝は錦織がジョコビッチを破りました。久しぶりに4強のどちらもグランドスラム決勝にいなかった大会でした。この時にいよいよ世代交代が始まったと世界が予感したのですが、それから2年近く経ったのに、やっぱりポスト世代は4強の後塵を拝しています。昨日のフェデラーとチリッチの試合はそんな状況にあることを端的に物語った試合でした。

 とは言え、昨日はほとんどチリッチが勝っていた試合だったことも確かです。もはや実力は拮抗してきています(さすがにジョコビッチは少し抜けていますが)。かなり薄くなってきた壁を突き破れば一気に混沌とした状況になりそうです。フェデラーの準決勝の相手はポスト世代のラオニッチ。フェデラーがまたもや壁となるかどうか、注目の一戦です。


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