幹事クリタのコーカイ日誌2016

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4月6日 ● 新入社員時代の反省。

 子どもを育てていて楽しいことのひとつに「追体験」できることがあります。子どもがやることは自分がかつて子どもの頃にやったことで、それを改めて体験できるのです。小学校に行って運動会に参加したり、卒業式に出席したり、受験したり、もしくはそんなイベントではなくても、ささやかな日常でも「ああ、自分も昔やったな」という経験が子どもを通して甦ってきたりして、懐かしかったり楽しかったり、時には一緒に悲しい気持ちになることもあります。

 いまうちの娘が新入社員として研修を受けたり配属先で緊張しながら仕事をしたりしている話を聞くと、自分が新入社員だった時を鮮明に思い出します。僕の場合は実家を離れて東京での研修生活だったので、娘よりまたさらに不安も期待も大きくて、見るもの聞くもの全てが新鮮で刺激的でした。東京生活自体も今より地方と東京では情報格差が大きかったこともありますが、当時は「コピーライターブーム」なるものがあって、コピーライターの卵として先輩方から研修を受けている時は、まさに「時代の最先端」の洗礼を毎日浴びているようなものでした。

 当時はクリエーティブ部門に配属になった新入社員はなんと3か月も研修期間だったため、6月いっぱい東京にいました。3か月の東京暮らし、しかも勤務地は銀座で居住地は成城という暮らしをしていると、田舎から出てきた人間はちょっとずつ狂ってきます。オープンしたばかりのディズニーランドに遊びにいったり、銀座や六本木に飲みに連れていかれたり、休日に成城でホームパーティ、二子玉川でショッピングに行ったりしていると、それまでの田舎での地味な生活とのギャップが大きすぎて、心身がついていかないのです。

 唐突に時代の先頭に訳もわからないままに立たされてしまい、ダサかった僕はほとんど「木綿のハンカチーフ」状態でした。自分でも何をしているのかよくわからないまま大きな都会の渦に巻き込まれているような状態だったのです。そしてそんなシンデレラタイムは3か月で終わり、7月からは実家に戻り名古屋支社での生活が始まりました。いきなりの強制リセットです。PCでも調子がおかしくなりますが、僕も少々おかしい精神状態になりました。地味なのか派手なのか、古臭いのか最先端なのか、よくわからない環境に自分が適応できなかったのです。

 僕は名古屋に戻ってきて2か月後にバイクで事故を起こして、新入社員のくせに2か月も休む羽目に陥ります。いまから振り返れば、あの事故は入社して以来、初めての体験だらけで舞い上がってしまって、自分を見失っていた結果なのだろうと思います。娘も含めてフレッシュマンには、くれぐれもそういうことにならないよう、地に足をつけてしっかり歩み始めてほしいものです。33年前の新入社員の反省でした。


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