幹事クリタのコーカイ日誌2016

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2月26日 ● 結局揉める女子マラソン選考。

 リオ五輪の女子マラソンの代表選出選考がまたぞろ揉めています。女子マラソンの代表選出が揉めるのは毎度のことなので、もはや4年に一度の恒例行事と化している感すらあります。構造的かつ体質的な問題なので致し方ないのでしょうが、毎度毎度困ったものです。

 今回の選考は3枠のうち1枠は昨夏の世界選手権で日本人最高成績を収めたら内定が決まり、残る2枠は3つの選考レースで決めるということなのですが、そもそも2枠を3レースで決めるというところに矛盾があるのは明らかです。先日2つめの選考レースである大阪で優勝した福士は、選考基準タイムもクリアしましたが、内定が出ませんでした。「ほぼ」内定だろうという成績ではありますが、最後の選考レースである名古屋が終わらないと内定は出せないと陸連は言います。

 となると、どうしても五輪代表の座を得たい福士が「名古屋も走る」と言い出すのも無理ありません。ところが内定を出せないと言っておきながら陸連は「出場をやめろ」と言い出しました。本番のリオ五輪に悪影響が出るからというのです。そこまで言うのなら陸連は内定を出せばいいのに、あくまでもそれは無理というのですから話になりません。結局内定が貰えないならと福士は一般参加という形で名古屋に強行出場するということになってしまいました。

 福士が名古屋を走りながらレースの様子を見て「これなら私を上回るタイムは出ない」と判断して20〜30kmくらいで棄権すれば、さほど悪い影響は残らないかも知れません。しかしスピードが上がって複数の選手による激しいレース展開になり、それに福士が挑んでいったら、仮に福士が勝ってもリオで本領を発揮できない危険性が高くなってしまいます。まして福士の性格なら、タイムが伸び悩んでも最後まで全力を出して走りきるかも知れません。そうなったらせっかくの数少ないメダルを狙える選手を無意味に潰してしまったということにもなりかねません。

 選考を一発勝負とせず、対象となるレースを多くしているのは、ひとつはその日の体調や運に左右されがちな一発勝負よりも、実力を見極めて本当に強い選手を出したいという陸連の考え方があります。確かに以前にやはり揉めたバルセロナの有森、シドニーの高橋は結果を出したので陸連の選考方法が決して間違っているとも言い切れません。ただ一発勝負にしない理由はそれだけではなくて、各大会のスポンサーや主催するメディアの意向があるからと言われています。選考レースになったら選手が集まって盛り上がるから良いですが、他のレースは寂れてしまいます。だからどの大会への顔も立てて選考レースを減らせないのです。

 最初に決めた決定のルールを守るのは大事でしょう。しかし、このまま福士を走らせて、もし潰してしまったら何とも残酷ですし残念です。ここは陸連が折れて内定を出した方が良いのではないかと思います。1枠はまだ残るのですから名古屋を走る選手のモチベーションも下がらないでしょうし。


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