幹事クリタのコーカイ日誌2015

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12月9日 ● 秋元康の1億枚。

 12月8日と言えば昔から「真珠湾攻撃」の日であり、ジョン・レノンの命日でもあり、長年どちらの話題を取り上げるかで、その人の世代や価値観までも測られる日でしたが、今年は「AKB4810周年」でもあったので、ネットニュースではAKB関連の方がずっと目立っていました。

 で、今日9日には高橋みなみのラストシングルである新曲「唇にBe My Baby」が発売され初日に81万枚を売り上げて、シングルス売上枚数でB’zを抜いて歴代トップに立ったそうです。それもすごいなと思いましたが、もっとすごいなと思ったのが、秋元康の作詞シングル売上がこれで1億枚を突破したんだそうです。かつて1位だった阿久悠の6831万枚を2013年に超えてから2年半でもう1億枚。この勢いでさらに数字をどんどん伸ばしていきそうですから、これはもう誰も超えることのない大記録でしょう。

 秋元本人によれば1億枚のうちAKBで3500万枚、それ以外のアーティストで6500万枚だそうですが、B’zが3580万枚なのだから、実際のAKB関連の売上枚数は姉妹グループやユニットまで入れたらもっと多く4000万枚近くまで達していることでしょう。AKB商法で阿久悠を超えてもどうなんだ、と言われても仕方ありません。とはいえ、それを除いてもすでに阿久悠に肩を並べようかというほどの売上になっているんだから、それは偉業だということには変わらないと思います。秋元の詞のキャッチーさとわかりやすさ、そして何より視点の新しさ。それが秋元の「売れる」詞の世界です。

 ただ作詞家の価値は売上枚数だけではありません。量も確かに大事ですが、やはりどれほど魅力的で心に響くような詞を書いたかで語られるべきではないかと思います。秋元にも「川の流れのように」のような名曲はありますが、ほとんどはアイドルへ提供した楽曲が占めています。アイドル曲だって良い歌詞はたくさんありますが、秋元の場合はおニャン子でありとんねるずでありAKBなだけに、やはり「芸術」ではなく「企画」という感じがしてしまうのが難点です。

 阿久悠の歌詞の深みと芸域の広さはすでに語りつくされているところですが、「日本三大作詞家」の最後の1人である松本隆こそが「量より質」の代表でしょう。もちろん量も売れている人ですが、たとえアイドル曲であっても太田裕美や松田聖子の楽曲の詞のクオリティの高さには目を見張るものがあります。キャッチーでありながら秋元にはない都会的で瑞々しい松本の世界。それは阿久悠の情念に満ちた世界ともまた違う心に響く力があります。

 秋元の詞の話を書こうと思ったのに、3人の比較のようになってしまいました。3人とも素晴らしいということで良いんですけどね。


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