幹事クリタのコーカイ日誌2015 |
9月14日 ● ジョコビッチの壁。 雨のために3時間遅れで始まった全米オープン男子シングルス決勝。期待通りのハイレベルな試合になりました。とにかく2人とも速い。ボールも速いし、動きも速い、展開も速い。一瞬たりとも目が離せない。エース級のボールを打ち合い、それを拾い、またそれを切り返す。押していても一本のカウンターで逆転してしまう異次元の対戦です。 1セット目は6-4でジョコビッチ、2セット目は7-5でフェデラーが取りタイになりました。3セット目がカギでした。内容はフェデラーがずっと押していて、それを必死にジョコビッチが押し戻します。しかし崩れそうで崩れないのがジョコビッチ。フェデラーがエースを狙って打ち込んでも打ち込んでもジョコビッチが返してくるので、さらにフェデラーが厳しいコースを狙ってミスをする繰り返し。「あの1本が入っていれば」ということがどれだけあったでしょう。しかし、それこそジョコビッチのテニスなのです。 数多くあったブレイクポイントのほとんどをディフェンドしたジョコビッチが、結局6-4で3セット目を取りました。フェデラーにしてみれば「自分が取れたセットだった」と思ったことでしょう。そもそも体力的に不利なフェデラーはフルセット勝負では勝ち目は薄いのです。3セット目を取れなかったことで、ほぼフェデラーの勝ち目はないと思いました。 4セット目に入ると、目に見えてフェデラーのテニスが悪くなりました。集中力を欠いたようなプレーで、すっぽ抜けたような当たりや、イージーなミスが増えました。ジョコビッチが2ブレイクアップを果たし、勝負はほぼ決着しました。フェデラーも最後の意地で1ゲームブレイクしたものの、勝利の女神はジョコビッチにあっさり微笑みました。 結果こそジョコビッチでしたが、テニスとしての質はむしろフェデラーの方が上でした。ただ、ここぞのところではジョコビッチがポイントをきちんと取ったこと、そしてフェデラーが時々何でもないミスショットをして隙を見せたことが勝負を分けました。それだけジョコビッチが最初から最後まで集中して最高のプレーを続けられたということで、彼のメンタルの強さがフェデラーの技術をわずかに上回ったのだと思います。 ウィンブルドンに続くジョコビッチとフェデラーの頂上対決はジョコビッチの2連勝。もうフェデラーには5セットマッチのグランドスラムでは、この先もなかなかチャンスはないかも知れないと感じさせられた、それほどジョコビッチの壁の高さを痛感させられた試合でした。 |