全仏準々決勝で錦織がツォンガに負けました。錦織が有利だろうと思っていただけに残念でなりません。足を引っ張ったのは立ち上がりでした。原因はわかりませんが、とにかく錦織のテニスが全くできず自滅。１セット目を1-6で見せ場なく取られ、セカンドセットもあっという間に1-5とどうしようもない出来でした。ツォンガも調子良かったですが、それ以前に錦織が悪すぎました。

　しかし敗色濃厚となったところで錦織に思わぬ幸運が訪れます。本当は幸運と言ってはいけないのですが、スタジアムの看板が落下したために試合が４０分ほど中断したのです。これで錦織の頭が整理されました。再開後はすっかりいつもの錦織に戻っていました。一気に追い上げて２セット目を取れそうなところまでいきましたが、結局ツォンガも踏ん張って4-6で取られました。ここを取っておけば錦織も楽になれたのですが。

　それでも錦織は追い上げます。３セット目6-4、４セット目6-3と着実に自分のテニスを取り戻していました。ファイナルセットにもつれこめば、フルセット勝率歴代１位を誇る錦織が絶対に有利だと思っていたので、４セット目を取ったところで、これでようやく勝ったかなと安心しました。しかし、ツォンガがここから再び粘り始めます。テニスが丁寧になりミスが減りました。錦織も互角に戦っていましたが、ついにブレイクを許してしまい、そのままツォンガの好調なサービスゲームをブレイクできないで負けてしまいました。

　錦織からしてみれば実にもったいない試合でした。立ち上がりさえ間違えなければ十分に勝てる試合でした。もはや優勝候補の一角にあげられるようになった錦織です。ベスト８で満足できるはずもないし、実際ドローにも恵まれたのですから、ここは何としても勝って欲しかったと思います。ただ一方的に負けて終わったわけではなく、追い上げて追い上げきれなかった敗戦です。きっと学んだことも多いでしょうから、ぜひこの苦い敗戦を糧にして、ここからまた先を、上を目指してほしいと願っています。