気がつけば『ブラック・プレジデント』が第２話まで終わっていました。関西テレビのヒットメイカーチームが作る社会派コメディドラマ。主演は沢村一樹ですが、本来ならこの枠の定番である阿部寛が得意そうな役どころです。と言うか、沢村が阿部の代役にしか見えないのはいかがなものかと思いますが、阿部にはないエロ男爵ならではの「軽さ」と「エロさ」がよりコメディ色を強めているので、僕は嫌いではありません。

　脚本の尾崎将也はさすがの痛快さ。沢村ブラック社長が言っていることは無茶苦茶なんだけど、でもカタルシスがあって、思わずブラック企業の論理を支持してしまいそうになります。もちろんこれはブラック企業のカリカチュアなのですが、その理屈を納得させてしまうのはどうなんだ？と思うほど脚本と演出がはまっています。

　当然、この先はブラック社長が徐々に改心していく展開になるのでしょうが、あまり真っ当な人間になってしまうと、このダークヒーローによる「邪道」の楽しみが失われてしまうので、変人でありながら共感できるという落としどころが難しいでしょう。脚本家の腕の見せ所です。

　共演の黒木メイサ、永井大、国仲涼子らは可もなく不可もなくではありますが安定感はあります。残念なのは大学生役の若手俳優陣にまだ光るものが感じられないところ。その中で、やはり門脇麦の存在感は大したものです。彼女は今後もっと大きく伸びてきそうです。視聴率は一桁台と冴えないようですが、僕はずっと見ようと思っています。