幹事クリタのコーカイ日誌2014

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2月16日 ● 転んでもチャンピオン。

 日本時間の金曜日深夜から土曜日未明にかけて行われたソチ五輪フィギュア男子シングルフリーには、多くの日本人がテレビの前でハラハラドキドキしたことでしょう。タチアナ・タラソワが「こんなに転ぶオリンピックチャンピオンは見たことがない」と言うほど、これまで完璧な演技をしてきた羽生結弦が失敗ジャンプを繰り返しました。団体やSPでの素晴らしい演技を見てきただけに、まさか羽生がこれほど緊張していつもの演技ができなくなるとは。オリンピックの重圧というものをまざまざと見せられた気がしました。

 羽生の得点が伸びなかったことで、多くの日本のファンが内心金メダルを諦めたのではないかと思います。深夜3時半過ぎに家族みんなで見ていた我が家でも「これでパトリック・チャンの優勝だ」と言い合っていましたし、娘はチャンの演技中ずっとテレビに向かって「転べ、転べ」と念を送っていました。

 ところがなんとその念が届いたのか、チャンが羽生同様に失敗を繰り返してしまいます。解説の本田もチャンの演技途中からすっかり黙ってしまいました。内心ではチャンが失敗すれば羽生が勝てると思っていても、さすがにそんな発言はスポーツマンシップにもとります。だから黙るしかなかったのでしょうが、テレビ前の観客にはそんな遠慮はいりません。我が家もチャンが失敗するたびに「おっ!」「おおっ!!」とテンションが上がっていきました。

 チャンもまた金メダルを意識して硬くなってしまったのでしょう。演技が終って、これは羽生が勝ったなとわかりました。SPとは反対にお互いに満足のいかない演技をしてしまう。もちろんお互いに最高の演技を見せて、それで勝負がつく方がいいでしょう。しかし、お互いが必死になってやって、それでも失敗をしてしまい、不本意な形で決着がつくのもまたオリンピックなのです。マンガや映画とは違うリアルさが、生身の人間だからこその勝負が、そこにはありました。こんなに転んでも立派なチャンピオンです。2人の健闘を称えたいと思います。


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