幹事クリタのコーカイ日誌2013

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10月26日 ● 食材偽装で思うこと。

 阪急阪神ホテルズの食材偽装事件。トップの往生際の悪い会見が何より最悪でした。「偽装ではなく誤表示」「現場がやった」と責任逃れに終始していて、いまどきこんなひどい会見はないだろうと思うくらいです。数年にもわたって何種類もの安モノを高い食材として「誤表示」していたとしたら、それはもう「詐欺」です。そして全ては現場の無知と怠慢のせいにしているのも気分が悪い。なぜ潔く認めて謝罪し辞任しないのか、ますます信用を失うばかりなのにそれが解らないあの社長では、そりゃあこんな事件も起きるだろうと思ってしまいます。

 経営状態が思わしくなく、利益改善、コストカットの要求を現場に突きつけ、食材偽装へと突き進んだんだろうと思いますが、可哀想なのは責任を押し付けられた現場であり、シェフであり、納入業者です。あの社長の会見を見ていて「やってられねぇ!」と憤っている現場の人たちの顔が思い浮かぶくらいです。客の信用だけではなく現場の士気も下げまくりで、もう経営陣を刷新したとしても信頼回復へのハードルはかなり高いと思われます。

 ただこの食材偽装は阪急阪神ホテルズだけの特別な事件かというと、恐らくは他のレストランなどでもあるだろうと多くの消費者は思っていることでしょう。だいたいブランド牛、ブランド豚、ブランド米などがやたらと多くのレストランで提供されていますが、例えば「イベリコ豚」はいったいどれだけ生産されているんだと思うほどここ数年乱発されています。そもそもその値段で松坂牛やキャビアや北京ダックが食べられるはずないだろうと。

 まあ実際に破格値のそうした料理を食べれば「ああ、やっぱり」と落胆せざるを得ない味です。まれに「値段相応で頑張っているな」くらいなものもありますが、安さを追い求めれば何かが犠牲になるのは当たり前。それが味なのか、サービスなのか、雰囲気なのか、はたまた食材偽装なのかということです。

 まずは消費者が過剰に安さを追い求めないことです。「コスパがいい」ことばかりを評価せず、値段相応のものがきちんと提供されることを望むべきでしょう。じゃなければ業界自体がどんどん首を絞められて窒息死してしまいます。これはなにも外食産業だけの話ではありません。あらゆるものには適正価格があるのです。不当に安いものを求めれば誰かが犠牲になっています。コストカット地獄で苦しむのは明日は自分かも知れないということに気づくべきです。


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