幹事クリタのコーカイ日誌2013

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9月13日 ● 外国人受けするプレゼン。

 東京五輪招致成功に関して、最終プレゼンテーションがどれほど効果があったのか、それは僕にはわかりません。マスコミはやたらとあのプレゼンを誉めていますが、あんなプレゼンだけで開催地が決まるほどIOCというところは単純ではないでしょう。恐らく東京に決めるにあたって、プレゼンが「アリバイ」にならないといけない、というレベルの重要度だろうと思います。本当は裏であれやこれやあるんだけど、表に出るのは「プレゼンが素晴らしかった」というのがわかりやすい説明になるからです。

 あのプレゼンは相当の事前練習があり、またそれを演出をした「五輪請負人」がいたとか、裏側の人たちの作戦やら思惑やらがあったのでしょうが、多分大多数の日本人はマスコミが誉めるほど感銘したわけではなく「ちょっと違和感があるな」と感じたのではないかと僕は想像しています。いかにも「外国人受けする日本人」を演技していたプレゼンだからです。「あー、外国人は好きだよね、ああいうの」という印象でした。

 安部首相を筆頭に、みな大げさな身振りと表情で丸暗記したであろう英語でゆっくり話し、常にアルカイックスマイルを浮かべて精神性の高さと落ち着きを表現。挙げ句に滝川クリステルなど日本人は普段挨拶ではやらない合掌のポーズまで加えました。あれこそまさに「外国人向け」の象徴。間違った日本人の挨拶をこれ以上海外に広げるのはいかがなものかと思いますが、クリステルはハーフだから日本のマナーを良く知らないでやったと言い訳するのでしょうか?

 もちろん、普段通りの無表情でどこを見ているかわからない顔でボソボソとプレゼンをしたら勝てなかったかも知れないし、負けた時にプレゼンが悪かったと批判されるよりは、徹底して外国人向けのプレゼンをすることは正しい選択だっただろうと思います。だからあのプレゼン自体を否定する気は毛頭ありませんが、ただなんか落ち着かないし気持ち悪いという感想を僕は抱いてしまいました。マスコミがべた褒めするほどステキでもなかったよ、と。むしろあれに違和感がない人が多くなったら、日本人の感性は大きく変わってきているということになります。

 ちなみに唯一違和感を覚えなかったのは言うまでもなく高円宮妃殿下のスピーチでした。完全に身についているスマートで洗練されたスピーチで、さすがにそういう場をこなしてきた人は違うなと感心しました。恐らくIOC委員たちが「懸命に演技している日本人」を生温い目で見られたのも、妃殿下の自然なスピーチがあったからこそではないかと思います。皇室の政治利用という批判もあったようですが、あれは皇室外交の一環として考えても良いのではないでしょうか。



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