幹事クリタのコーカイ日誌2012

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6月12日 ● 雨が流れを変えた全仏決勝。

 全仏オープンテニス男子シングルス決勝。ジョコビッチ対ナダルは雨のため2日がかりの試合になりました。この試合はグランドスラム4大会連続同一カードの決勝戦であり、これまでの3戦はジョコビッチの3連勝。したがってジョコビッチはグランドスラム4連勝を狙うことになります。年度をまたいでの4連勝は年間グランドスラムとは認められませんが、滅多にできることではありません。もちろん勝てばジョコビッチは史上8人目の生涯グランドスラム達成となります。

 対するナダルは去年徹底的にジョコビッチに負けましたが、自分がもっとも得意な全仏だけはジョコビッチに牙城を明け渡したくないところ。しかも今回優勝すればボルグを抜いて全仏史上最多7回目の優勝となります。お互いに大きな記録がかかった決勝戦となりました。

 試合は好調を維持しているナダルが立ち上がりからジョコビッチを圧倒して2セットを連取して王手をかけました。ナダルは好守ともに安定していて、攻める時は怒濤の如く押し切り、また守る時は壁のようにジョコビッチのボールを跳ね返し、また起死回生の一打を放って逆転をします。ジョコビッチは特にバックハンドのエラーが多く、なかなか波に乗り切れません。途中でイライラが募ってベンチをラケットでたたき壊すほどでした。

 ところが試合途中から強くなってきた雨がゲームの流れを変えていきます。重くなったレッドクレーはナダルの強烈なスピンを跳ね上げさせずにジョコビッチの打ちごろのボールに変えてしまいます。雨による中断を挟んでどんどんジョコビッチに流れが傾き、3セット目は6ゲームをジョコビッチが連取して奪い返しました。さらに4セット目も先にブレイクをナダルは許してしまい、このままジョコビッチが押し返していくのかと思われたところで雨で順延。ナダルは雨で流れを奪われましたが、雨がその流れを断ち切ってくれたことにもなりました。

 月曜日。立ち上がりからまたナダルが飛ばしますが、今度はジョコビッチも負けていません。途中でまた雨が降ってきてどうなることかと思いましたが、お互いに譲らない試合展開のまま第4セット5-6でジョコビッチのサーブ。これをキープしてタイブレークに突入かと思ったら、ここでもまた雨が影響をしたのか、ジョコビッチのサービスが微妙にナーバスになっています。ジョコビッチがミスを重ねて最後はなんとダブルフォルトで決着。レッドクレーに愛されている男、ナダルが7度目の栄光を掴みました。

 とにかく見ていて面白い試合でした。お互いにスーパーエース級のボールを打ち合いながら、それが全然決まらない守備力の高さ。展開の早さやテクニックの多彩さにも目を奪われる、まさにテニス史上最高峰の戦いでした。勝負の微妙な綾は雨に対する対応だったのかも。ナダルは昨年ジョコビッチに徹底的に叩きのめされた屈辱から立ち上がり、彼のテニスを一層高めてきました。ジョコビッチもまたかつてナダルとフェデラーに抑えつけられていたからこそ、昨年の大ブレークがあるわけで、お互いがお互いのテニスを高め合う関係というのは理想的なライバル関係です。

 次はもう1ヶ月足らずで始まるウィンブルドン、そしてロンドン五輪が戦いの場となります。天然芝の上ならこの2人に対してフェデラーも全くひけをとりません。今から至高の戦いにワクワクします。



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