幹事クリタのコーカイ日誌2012

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5月30日 ● 伊藤竜馬に見た日本男子テニスの可能性。

 昨日行われた全仏オープン男子シングルス1回戦の伊藤竜馬vsアンディ・マレー。25才のマレーは男子4強の一角。今年はかつての名選手イワン・レンドルをコーチにつけて悲願のグランドスラム初優勝を狙っています。対する伊藤は錦織、添田に続く日本男子の3番手ながら、ここのところぐんぐん実力を上げてきてランキングも60位台に突入。威力のあるフォアハンドで積極的に攻めていく姿勢が持ち味の24才。マレーにどこまで迫れるかが見どころでした。

 第1セットは伊藤が緊張しているのか早い段階でのミスが目立ちました。マレーは途中からただ守っているだけ。伊藤が強引に攻めていってはミスを繰り返すワンパターンな展開で、あっさり6-1でマレーが取りました。第2セットに入っても一方的な展開で2-0。少々退屈になってきたところでマレーのサービスゲーム。ファーストポイント伊藤のラッキーなコードボールのネットインから流れが変わりました。マレーのダブルフォルトなどのミスが続いて、あっさり伊藤がラブゲームでサービスブレイクをしたのです。

 テニスの流れというのは本当に不思議なもので、ここから伊藤の快進撃が始まります。バックのダウンザラインのエースが決まったかと思えば、持ち味の豪快なフォアハンドエースが炸裂。マレーを振り回してどんどん攻めていきます。伊藤の小気味よいテニスにスタンドのファンも伊藤応援一辺倒。「イトウ」コールが起こるほどに観客を味方につけ、ついに5-4とセカンドセットをあと1ゲームで取れるところまできました。

 ところがここからが4強のマレー。ギアを上げて本気で戦い始めました。第1セットのような守っているだけの受け身のテニスではなく、ポジションを前に上げて展開を早くして伊藤にプレッシャーをかけ始めました。攻めていってもミスが増えるだけの伊藤。なんとこのセットを3ゲーム連取されて落としただけではなく、そのままの流れで第3セットも6ゲーム連取されてしまいました。1-6、5-7、0-6の完敗。結局、伊藤が良かったのは第2セットの中盤だけで、後はずっとマレーのペース。一方的にやられて終わってしまいました。

 現時点ではまだまだ本気のマレーには伊藤では相手になりません。とりも直さずそれは世界のトップとは大きく開きがあるということです。反面、伊藤のテニスにはトップクラスを脅かすだけの可能性があることも見せました。ちょっと前の錦織と同じです。差は確かにあるけれども、それを覆すだけの可能性もある。錦織はその才能を証明するかのように一気に昨年ジャンプアップして10位台の選手にまで成長しました。伊藤にだって不可能なことではありません。

 錦織が突破口を開いた世界上位への道。添田と伊藤がいま錦織の後を追うようにその道を歩いています。きっとさらにその後を追う若い選手たちがいることでしょう。日本男子テニス黄金時代の足音が大きくなってきています。



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