幹事クリタのコーカイ日誌2011

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11月7日 ● 錦織が起こした「バーゼルの奇跡」。

 この週末、スイスから驚くべきニュースが届けられました。バーゼルで行われていたATP500大会「スイス室内」で、錦織圭が準決勝で世界ランキング1位のジョコビッチを破り決勝に進出、あのフェデラーと戦ったのです。錦織はこの大会にポイントが足らずワイルドカードで出場。そして初戦でトップ10選手のベルディヒに勝っただけでも快挙でした。しかし、そこから勝ち上がっての準決勝。今季グランドスラム3冠のジョコビッチ相手に見事な逆転勝ちを収めたのです。

 ジョコビッチは全米以降試合をパスして休養していました。まだ万全ではないのにこの大会に出場してきたのですが、錦織との試合ではかなり怪我の具合が悪かったようです。しかし、それを差し引いてもナンバー1を錦織が倒したというのは大ニュースです。過去日本人男子選手がナンバー1に勝ったことはありませんでした。そして、ジョコビッチが今季負けた相手は錦織でまだ4人目。しかも後の3人のうち最後まで戦って勝ったのは全仏準決勝のフェデラーだけだったのですから、いかに凄いことかがわかります。

 そして決勝戦。相手は史上最強選手フェデラー。地元の大会だけに過去5度も優勝しています。強敵中の強敵ですが、日本のテニスファンにとってはまさに夢の対決です。いつか錦織がフェデラーと戦う日がくるのではないかと期待はしていましたが、まさかこんなに早く、しかもツアー大会の決勝で実現するとは思いませんでした。

 テレビ放送はないかと思いましたが、GAORAでライブ中継がありました。多くのテニスファンがテレビ観戦したことはツイッターのTLでもわかりました。錦織がフェデラーと一緒に入場してきただけで興奮。とうとうこの日が来たかと感動した日本のテニスファンはどれほどいたことでしょう。

 試合は最初のサービスゲームでポイントを重ねた錦織を見て「もしかしたら」という期待を感じさせたのですが、途中から完全にフェデラーのペース。全盛時を思わせるようなショットの切れに身震いするほどです。フェデラーのことを好きなテニスファンが多いのを改めて確認させるような美しいテニスでした。錦織も何とかしようと頑張るのですが、なんともなりません。フェデラーに勝つには唯一の弱点と言われるバックハンドに高いボールを集めることだと言われていますが、それができる選手はナダルとジョコビッチを筆頭にほんの僅かな選手だけ。錦織では打つ手がごく限られてしまいます。

 それでも錦織も健闘しました。積極的に前に出てボレーで攻めていきますが、フェデラーのパスが素晴らしく、いとも簡単に抜かれてしまいます。解説の辻野隆三が言ってましたが、フェデラーは錦織を前におびき出しているようで、錦織としてもどうしようもありません。結局1-6、3-6というスコアで完敗してしまいました。

 ただまだ21才の錦織にとってこの一週間は本当に貴重な経験だったことでしょう。ジョコビッチに勝ちフェデラーと決勝で戦っての準優勝。もうすっかり世界のトッププロの一人です。これでランキングも20位代に入りますから、グランドスラムでのシードは確実。来季はトップ10入りを目指す飛躍の年になります。ああ、今から全豪が楽しみです。




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