幹事クリタのコーカイ日誌2011

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1月5日 ● 箱根駅伝に素直に感動できない。

 今年も箱根駅伝のテレビ中継は高視聴率をマークしたようです。往路での3年連続での東洋大柏原の逆転劇、そして復路での逃げる早大と追う東洋大の白熱の走り。確かにスポーツドラマとして見れば実によくできていました。毎年高い視聴率を稼ぐのもわかりますが、僕はどうも素直に箱根駅伝を応援することができません。

 理由のひとつはあれが「関東のローカル大会」であること。確かに最近の出雲駅伝、全日本大学駅伝の結果からすれば、関東の1番は日本の1番であるのですから、関東限定でも問題ないと思われるかも知れませんが、それは実は因果関係が逆で、箱根駅伝があるから関東の大学に有力選手が集中するのです。

 箱根がこれほどの人気を博すようになったのは1987年の日本テレビによる完全生中継以降のことです。87年の歴史とか言いますが、実は人気が出て注目されるようになったのはこの20年ほどのこと。それ以前の大学駅伝では関東以外の有力校も強かったのに(京産大、福岡大、中京大など)、今ではすっかり関東以外の大学は弱くなってしまいました。箱根がない女子の大学駅伝は関西の佛教大、立命館大、東海の名城大がずっと3強なのですから、いかに箱根の影響力が強いかわかります。もし箱根を全国大会にしたら、これほどまでに関東の大学に有力選手が集中することはないでしょう。

 まあ関東への有力選手の一極集中という問題は駅伝に限らず他の大学スポーツでもあることなのでさておいても、もっと気がかりなのは箱根が選手を潰しているんじゃないかということ。これは以前より陸上関係者から再三にわたって指摘されていることですが、箱根へ集中するあまりトラック軽視に陥り、世界で戦うために必要なスピードが身に付かず、また淡々と約20kmを走ることだけを練習するので駆け引きも覚えないし、フルマラソンを走るスタミナも身に付かない。ゆえにトラックでもマラソンでも勝てないということです。

 実際、箱根駅伝が注目を浴びるようになってから日本の男子マラソンはどんどん弱くなってきました。かつての円谷、君原、宇佐美から宗兄弟、瀬古、中山、谷口と世界トップクラスのランナーを輩出し続けてきた日本の長距離男子は、今ではすっかり二流国になっています。女子マラソンに比べて明らかに最近の結果が劣るのは、箱根が有力な選手を潰しているせいが大きいのではないかと思います。

 そうじゃなくても箱根は野球の甲子園大会と同じ匂いがします。ここで潰れてもいい、後はどうなってもいい、という悲愴感が選手たちに漂っていて、それをマスメディアやスポンサー、大会関係者などの大人たちがよってたかって食い物にしている感がプンプン。もちろんビジネス側からみれば、ようやく20年かかってここまで「金のなる木」に育てたということなんでしょうけどね。甲子園同様、競技している選手には罪がないのですが、なんかイヤな感じです。




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