幹事クリタのコーカイ日誌2010

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11月30日 ● 「龍馬伝」完。

 NHK大河ドラマ「龍馬伝」が最終回を迎えました。1ヵ月早く終わるのは去年に続いて年末に「坂の上の雲」を放送するから。と言うか、NHKのBSハイビジョンでは「龍馬伝」最終回に続いてもう「坂の上の雲」第2部が始まっていますけどね。一週間も早く放送するとはフライング過ぎるだろうと思いつつ、ちゃんと録画してあります。

 で、肝心の「龍馬伝」ですが、とにもかくにも最終回の「完」の文字まで見たんだから面白かった方だと思います。去年の「天地人」は3月で挫けました。2005年の「義経」や2003年の「武蔵」も途中で挫折していますから、それらよりはずっと上。近年の大河ドラマとしては、まあまあのB評価くらいはつけても良いです。

 ちなみに僕の中ではCランクの「功名が辻」よりも上、同じBの「利家とまつ」「風林火山」クラスというところでしょうか。「新選組!」「篤姫」はAランクなのでもう少し上ですけど。あ、途中で挫折した「天地人」らはもちろんD評価です。

 「龍馬伝」の場合、突っ込み所がたくさんあるというのはそれほどマイナス評価じゃありません。突っ込みを入れるのを楽しみに見るという側面もあったからです。かつての木村拓哉の「華麗なる一族」と同じです。ただ、つまらない回というのが徹底的につまらなかったのが残念でした。龍馬は、扱う素材としては面白くならなければ嘘というメジャーなものですから、それでつまらないというのは問題です。

 これは誰しも感じていたことでしょうが、このドラマは恋愛パートに入ると急にグダグダになります。広末涼子も真木よう子も嫌いじゃないというか、むしろ好きな女優なんですが、それでもドラマとしては彼女たちが出てくると停滞感ばかり漂って残念でした。少女マンガチックな恋愛など出さずに、もっと男くさいドラマにすれば良いのにと何度も思いました。

 それからこの恋愛パートにも関連してきますが、歴史の大きな流れを描かずに龍馬の身の回りのことばかりバカ丁寧にやるものだから、幕末というわかりにく時代背景がやたらと省略されてしまって、結局龍馬のやっていることの意味もわかりにくくなってしまったのも残念でした。女性視聴者受けを狙ってのホームドラマっぽい演出なんでしょうが、最初の頃はともかく、龍馬が大きく成長してからは全然合っていませんでした。

 最終回に関して言うと、龍馬が暗殺されることはわかりきっていたので、最終回の方向性としては2つあったと思います。「誰が」(実行犯ではなく黒幕)龍馬を暗殺したのかというドラマなりの解釈を示す方向、もう一つは龍馬暗殺後の展開をきちんと見せる王道の方向。ところが、実際のドラマはどちらも放り出したまま終わってしまいました。

 あれだけ黒幕として怪しい人物を何人も出しておきながら、結局そこには踏み込まず見廻組の犯行というだけ。弥太郎がのたうち回って終わり。市川亀治郎は良い味を出していましたが、及川光博は何のために大久保利通で出てきたのかわからなくなりました。かと言って、龍馬暗殺がどういう影響を世の中に与え、明治維新がどうやって展開していったかも描きませんでした。龍馬が死んだらドラマもあっさり終わり。そりゃないぜよ、の気分です。

 できることなら龍馬が死んだ後だけで1回作って欲しいくらいです。龍馬が死んで、西郷は、木戸は、勝は、後藤はどう感じ動いたのか。龍馬の考えたことは明治新政府にどう生かされたのか、坂本家やお龍はどうしたのか、海援隊はどうなったのか、そして弥太郎はどうしたのか。いくらでも「龍馬の遺産」として描くべき内容はあったはず。そこをさっくり無視したのは、ある意味気持ち良いと言えば言えますが、やはりドラマの完成度という意味では画竜点睛を欠いた思いがします。

 ともあれ、「龍馬伝」は終わってしまいました。来年の「江」は最後まで見届けられるドラマになるかどうか。いくら「姫たちの戦国」とは言え、あまり女々しいドラマにはして欲しくないですが。




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