幹事クリタのコーカイ日誌2009

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12月19日 ● クルマ多様性も維持して欲しいけど。

 GMは傘下のスウェーデンの自動車大手サーブの売却を断念したと発表しました。これにより「サーブ」というブランドは消滅することになるそうで、クルマ好きとしては残念ですが、このご時世に仕方ないのかという気持ちも一方であります。

 広告業界の人は輸入車好きが多く、みんな昔からいろいろなガイシャに乗っていました。ベンツ、BMW、VW、アウディといったドイツ車がもっともメジャーなのはどこも変わりませんが、イギリス車、イタリア車に乗る人も結構多く、ジャガーやミニ、アルファロメオなどいかにも「ギョーカイ人」なチョイスをする人も随分いました。また敢えて派手を嫌う人がボルボに乗り、そしてさらにそこに捻りを入れたい人がサーブを選ぶという感じでした。

 昔のテニス仲間でやはり中古のサーブを買った人がいて、2、3回助手席に乗せてもらいましたが、これがまたいかにも普通。価格の割に内装はチャチだし、走りも特別なものはないし、敢えてサーブを選ぶ理由というのは「あまり人が乗っていない」こと以外に見つけられませんでした。その人はシトロエンから乗り換えたので、内装がチャチなのはあまり気にしていませんでしたが、やはり面白みに乏しいところは気に入らなかったのか、早々に買い替えてしまいました。

 それ以降もごくたまにサーブに乗っている人に会いますが、これまで誰一人として絶賛する人はおらず、同じスウェーデンのボルボに比べてブランド力の低さは明らかでした(ボルボのブランド力の高さは広告の上手さも大いに寄与していると思いますが)。GMに身売りしてからもさっぱりサーブに浮上の気配は見えず、結局今回の事態に陥ってしまったわけですが、クルマに道具としての魅力が乏しい以上、これも必然なのかと思います。

 ただ、こうした事態はサーブにとどまるわけではないことが、クルマ好きにとっては恐ろしいところです。経営難の自動車会社は数多くあり、いつ身売りするかわかりません。またすでにサーブ同様身売りしてしまった有名ブランドも多く、ジャガーのようにインドのタタに売り飛ばされたりするところもあるように、名門と言えどもいつその命脈は尽きるとも知れません。このまま世界的な不況が続けば、自動車会社はどんどん淘汰されていき、大手数社しか生き残れなくなります。その時には今までのような母国の文化を背負った多様なクルマが存在し得る社会ではなく、どこもトヨタ車のような相似形のクルマしか残っていないかも知れません。

 生物多様性を守ろうとCOP10が来年名古屋で開催されますが、クルマ多様性も守れないものでしょうか。個性に乏しい画一的なクルマばかりになるのは本当に面白くありません。それぞれ作り手の個性が浮き彫りになって、クルマを乗り換えることで違う文化を体験できるようなクルマ社会が維持できないかと思います。でも、クルマを単なる道具だと割り切っている今の若者にこの主張は全然響かないんだろうなぁ。むしろどれでも同じ方が迷わなくても良いからOKだと思ってそう。自動車会社も大変な時代です。


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