幹事クリタのコーカイ日誌2009

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2月8日 ● 48才の抵抗。

 今日で48才になってしまいました。我ながら実感が沸かない年齢です。精神的にはようやく30代半ばあたりで、でも実際にはそろそろ40代かな〜と思っている感じで、48才なんて「アラフィー」の数字を突きつけられても全然自分のこととは思えません。だってもう「分別盛り」とか言われてしまう年齢ですよ。恐らく同世代のほとんどの人も、自分自身がそんなに「分別」が盛っているとは思っていないことでしょう。

 48才で思い出すのは石川達三の『四十八歳の抵抗』です。48才になった男性が定年(当時は55才)が見えてきたところで、人生に焦りを感じて19才の女の子と熱海に旅行に行ってしまうという情痴不倫小説です。僕がこの小説を読んだのは18才くらいのことで、もう全く主人公に理解も共感もできませんでした。まあ18才の、女の子ともちゃんと付き合ったことがないような純情少年ですから、当然と言えば当然です。

 石川達三は最近すっかり忘れられつつあるような気がしますが、『蒼氓』で第1回の芥川賞を受賞した作家です。この『四十八歳の抵抗』以外にも『風にそよぐ葦』『人間の壁』『青春の蹉跌』『金環蝕』などの話題作を次々と発表しました。彼は流行語になるようなキャッチーなタイトルをつける名手で、日本を代表する社会派作家の一人として活躍していました。

 『青春の蹉跌』『金環蝕』などが面白かったので、多分『四十八歳の抵抗』もその流れで読んだような気がしますが、共感できない主人公に不完全燃焼気味で「これは48才になったらまた読んでみよう」と思いました。その48才になってしまった今、改めてこの小説を本当に読んでみるかどうかと考えています。

 話の内容は、確かに今ならよく理解できる部分がかなりありそうです。しかし、この小説が書かれたのは昭和30年。半世紀以上も前のことです。当時の48才と今の48才では全然感覚が違います。今の方が若いと言えば若い、未熟と言えば未熟。今さらそんな古い小説を読んでも違和感があるばかりのような気も一方ではします。

 とは言え、今の48才にも今なりの悩みもあります。そして「抵抗」する元気もあります。どんな48才の抵抗をするか、いろいろと思いを巡らせている誕生日です。