幹事クリタのコーカイ日誌2008

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12月12日 ● 室伏は幸運なのか不運なのか。

 ハンマー投げの室伏広治が北京五輪の繰り上がり銅メダルになるそうです。銀と銅のベラルーシの2選手がドーピング違反で失格となったために5位の室伏が2つも繰り上がって銅メダルとなるわけですが、なにせ室伏はアテネ五輪でも繰り上がり金メダルだけに、2大会連続メダルという快挙を、2大会連続の繰り上がりで達成するという珍記録になってしまいました。

 もしこれが大会当日のことならマスコミも大騒ぎしたことでしょう。アテネからの連続メダルというだけでも立派な記録ですし、まして投擲競技というパワー勝負で日本人にはもっとも苦手そうな種目で達成したことに大きな意味があります。本来ならもっともっと称えられて良いことです。しかし、北京五輪が終わって4ヶ月。すっかり熱は醒めてしまっています。今さら繰り上がりとか言われても、2人も失格になり5位からの銅メダル、あげくに前回も繰り上がり金メダルでは、誰よりも室伏自身が「なんだかな」という気持ちでしょう。

 せっかくの快挙なのに、こんな微妙な空気では本当に室伏は可哀想で不運な男だと思いますが、反面銀と5位だったのが金と銅にグレードアップしたのですから、とてつもない強運の持ち主だと考えることもできます。「記録」には金と銅の連続メダリストとして残り、「記憶」には2大会連続で繰り上がりの人として残るわけです。記録にも記憶にも残る名選手になったものの、その微妙なズレが不運と言えばやはり不運でしょう。願わくば次回ロンドン五輪にも出場して、今度こそ繰り上がりなしでメダリストになって欲しいものです。