幹事クリタのコーカイ日誌2008

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9月1日 ● 錦織圭の快挙。

 先日錦織圭が全米オープン1回戦を勝った時点で、気が早い予想ながら第4シードのフェレールを破って準決勝進出と書きました。書いたものの、まさか本当にフェレールに勝つとは驚きました。しかも2セットアップの後に錦織は足に痛みを感じ、3セット、4セットを落としました。デビスカップで一度経験しただけの5セット目に突入し、普通に考えればこのまま逆転負けを喰らうところなのに、最終セットを7-5で取るなんて、凄いとしか言いようがない精神力です。まだ18才の錦織の「のびしろ」はどこまであるのか、空恐ろしくなるほどです。

 錦織がプロデビューしたのは昨年10月のAIGジャパンオープンの時です。まだ1年も経っていません。ジュニア時代から将来を嘱望されていた錦織ですが、昨年秋の時点では本格化するには数年かかるだろうと思われていました。17才でのプロ転向は早過ぎるとは思いませんが、なにせ日本男子の過去をイヤというほど見てきましたから、将来的に100位以内に入ってグランドスラムに出場できるくらいになれば良いのにな、くらいの淡い期待しかしていませんでした。

 しかし2月にブレークを破ってツアー初優勝を飾ってからの錦織の成長ぶりはとどまることを知りません。あのロディックを苦しめ、ウィンブルドンの前哨戦ではナダルから1セットを奪い、ナダルに「トップ5に入る実力がある」と言わせました。

 ウィンブルドンでの戦いぶりを見て、これは本当に強いと思いました。残念ながら腹筋を故障してリタイアし、北京五輪では腰痛のため1回戦突破すら果たせませんでしたが、体調さえ十分ならと思わせるような負け方を続けていました。なにかきっかけさえ掴めば、一気にトップ選手の仲間入りを果たせるのではないかと思わせるほどのポテンシャルを錦織は感じさせていました。

 だからこそ、いま拠点にしているアメリカで開催されるこの全米に期待をしていたのですが、まさかこれほどの快進撃を見せてくれるとはびっくりです。恐らくテニスに詳しくない人は、世界4位に1回勝ったくらいで何をそんなに興奮しているのかと思われるかも知れませんが、日本の男子選手でそんな選手はこの70年以上誰もいなかったのです。恐らくこの勝利で世界中が「ケイ・ニシコリ」に注目することでしょう。2月の初優勝はフロックではなかったことが証明されたのですから。

 錦織の4回戦の相手は第17シードのアルゼンチンのデル・ポトロ。シード選手とは言え、フェレールに比べれば強敵ではありません。しかしそれに勝つと次は第6シードのイギリスのアンディ・マレー。彼はフェデラーに勝ったこともある強豪です。フェレールと遜色のないトップクラスの選手ですから、これに勝つというのはかなり厳しいことではありますが、できることならマレーを破って準決勝でナダルと対戦して欲しいものです。錦織の一番のウィークポイントは、そのテニスのレベルの高さに、まだ体がついてきていないことです。やたらと体の故障が多いのがその証拠。今はとにかく体調管理がうまくいくことを願うばかりです。