幹事クリタのコーカイ日誌2008

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6月25日 ● 錦織圭の苦いグランドスラムデビュー。

 日本期待の錦織圭のウィンブルドンはわずか2セットで終わってしまいました。6−4、5−7で迎えた第3セット。最初の相手のサービスゲームに3本連続でミスしたところで、審判に棄権を伝えて錦織はコートを立ち去りました。前哨戦で痛めた腹筋がまた悲鳴を上げてしまったのです。せっかく31才のベテラン相手に優勢に進めていた試合を18才が放り出さなければならなかった悔しさは察して余りあります。見ていた日本中のファンもその悔しさを共有せねばなりませんでした。

 しかし、この試合で見せた錦織のパフォーマンスは「一流」の片鱗をうかがわせるものでした。しばしば読みが鋭いベテランを棒立ちにさせたフォアハンドストローク。意外に器用なタッチで決めるボレー。そして常に感情を出さずに淡々と試合を進める落ち着き。18才とは思えない完成度の高いテニスをしているのに、これでまだ発展途上だというのですから、この先、錦織がどこまで成長し、テニスプレーヤーとしての高みを登っていくのか、長年テニスを見続けてきたファンとしては思わず夢を見てしまいます。

 ただ怖いのは故障の多さ。日本のエースは松岡修造といい鈴木貴男といい、これまでも故障に泣いてきました。故障さえなければ2人とももっと上位までいけたはずなのに、肝心なところにくると怪我をしてランキングを下げていました。錦織もそうですが、日本人は120%体を酷使してようやく外国人に対抗できるのかも知れません。まるで1500ccのエンジンで5000ccのエンジンのクルマに対抗してレースを走っているようなものです。余裕がなくちょっとしたことで無理が響いて故障につながるのです。

 たださえ遅咲きの日本人。まだ18才の錦織はなにも焦ることはありません。じっくりと体を治して、今後も試合を慎重に選んでツアーを回って欲しいと思います。ランキングを上げることも大事ですが、世界1位になるよりもグランドスラムで優勝するところを見たいと思うので。