幹事クリタのコーカイ日誌2008

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6月23日 ● 今さら『古畑中学生』の感想。

 随分と遅れてしまいましたが、今さらながら『古畑中学生』の感想を述べてみようと思います。

 まずストーリーですが、いつもの古畑シリーズでは犯人が誰かわかっていて、それをどう古畑が真相に辿り着いていくかを見せる倒叙形式(「刑事コロンボ」方式)ですが、今回は真っ当に謎を解き明かしていく「シャーロック・ホームズ」方式(ドラマがホームズばかりだったので)でした。コロンボ方式はどうしても犯人との1対1での対決に重点が偏りがちで、一話完結の1時間ドラマには良かったかも知れませんが、話が広がりにくいので敢えて三谷幸喜はホームズ方式にしてきたのかと思いました。いろいろ古畑のエピソードを盛り込むにはやりやすかったのでしょうが、視聴者にネタバレしやすいのが難点です。僕も見ながら途中で大体の推測ができてしまいました。

 次にキャラクターですが、ジャニーズ事務所のプッシュで山田涼介になったのでしょうが、彼は彼なりに一生懸命古畑を演じていましたが、やはりあの独特の人を食ったような図太さが感じられませんでした。山田は見た目にもナイーブ過ぎます。その点、向島役のタモト清嵐は秀逸でした。きっと向島(というか小林隆)が中学生の頃はこんな感じだったのだろうと思わせるものがありました。

 他のキャストですが、ちょっと全体に安っぽい気がしました。曲がりなりにも古畑シリーズなのですから、もうちょっと大物を使っても良かったのではないかと。原田泰造でも良いけど、例えば香取慎吾がやったら、とか、浅野和之ではなく役所広司がやったら、とか。三谷幸喜がよく使う俳優で、まだ古畑シリーズの犯人役をやっていない大物俳優に演じて欲しかった気もします。とは言え、原田も浅野も決して悪かったわけではないですけどね。豪華さが足りないかなと思っただけで。

 なかなか力の入った面白いドラマではありましたが、それはあくまでも古畑シリーズのファンなら余興として面白いということであり、やはり田村正和あっての古畑シリーズであることも再確認できました。今回アヴァンタイトルに田村が出たわけですから、何とかまた新作を田村に演じてもらえないものでしょうかね?