幹事クリタのコーカイ日誌2008

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6月5日 ● 少子化対策なら「未婚の母」支援。

 厚生労働省によると合計特殊出生率が1.34と昨年よりわずか0.02ポイントながら改善し、2年連続で上昇したそうです。ただ生まれた子供の数である「出生数」は前年より約3000人減り、6年ぶりに増加に転じた昨年から再び減少してしまったそうです。これは「合計特殊出生率は回復しても、出産世代の女性が減り、出生数を押し下げた」と厚生労働省がしているように、20代の本来なら出産適齢期の女性が子どもを産まず、団塊ジュニア以上の世代が30代中盤になっても積極的に出産しているということで、実際第1子、第2子は減っているのに、第3子は増えているそうです。

 この統計からわかることは、「産みたい人はどんどん産むけど、産まない人は全然産まない」ということで、出産の二極化が進んでいるということです。これは自分の周りを見ていても感じます。40代になっても独身生活を続けている人も多いし、結婚しても子どもを作らない夫婦もたくさんいます。反面、3人以上の子どもを持っている人も結構いて、両極端だなと思います。

 政府は少子化対策のために「子育て支援」の政策をいろいろ実行しているようですが、この「二極化」傾向が進む限りあまり効果はないのではないかと思います。もちろん、やらないよりはやった方がマシでしょうが、そんな支援があろうがなかろうが、子どもが欲しい人はどんどん作ってしまうわけだし、逆にいらない人はいくら支援されてもいらないんだから子どもは作りません。そういう意味では「子育て支援」は微妙に的を外しているような気がします。

 で、もし少子化対策としてもっと効果的な施策を考えるのなら、僕は「未婚の母」を積極的に支援すべきだと思います。僕の周りの未婚女性に聞くと「結婚は面倒だし好きな男もなかなかできないけど子どもは産みたい」という人がたくさんいます。でも現実的に結婚しないで子どもだけというのは、よほど自分でお金を稼げる女性だけにしか難しいわけで、普通は経済的なこと(だけではなく道徳的なこと、世間体など)を考えて無理だと諦めてしまいます。

 しかし、結婚しても子どもを作らない主義の夫婦よりは、結婚したくはないけど子どもは欲しいと思っている未婚女性の方がはるかに出産意欲は高いわけですから、そんな女性の気持ちをうまくすくい取って政府が支援すれば、もっと子どもは産まれてくるはずです。なにせ男がいくら頑張っても女性がその気になってくれなければ出産は不可能ですからね。

 格差社会が大量の低所得な男性を生み、その男性たちが経済的理由から未婚の道を選ぶために未婚女性も増え、未婚社会になったために少子化が進むわけです。だったら未婚のまま母親になれる社会を作らないと少子化は止まりません。

 「未婚の母」の就労支援はもちろん、保育所などの整備も必要ですし、経済的なバックアップもいるでしょう。なにより「父親を問わない(詮索しない)」社会的コンセンサスが不可欠です。今のように父親が誰であるかをハッキリさせ、その男性に責任を全て覆い被せようとしたら、おいそれと未婚で子どもは作れません。父が誰であろうと、母がはっきりしていればそれでよしとするのです。

 もっともこれは現在の日本の「家制度」を根幹から揺るがしますし、この考え方を突き進めていけば平安時代の「源氏物語」的な世界になりかねません。要はモテ系の男性があちらこちらで子種をまき散らすことが十分に考えられますし、またそうじゃないと子どもは増えないからです。

 なんだ、結局不倫オヤジが得するわけか、というのは浅薄な考えです。だって結婚してようがしてまいが関係なく好きな男を選びたい放題選べるのなら、きっと女性は一部の魅力的な男性に集中しますから、選ばれた男性は遊んでいる暇もないほど大変な目に遭うことでしょう。そして多くの選ばれない男性は家庭と子育てから解放されるのです。本当の極楽はどこにあるのか、実際にやってみないとわからないと思いますよ。