この春ドラマでは内容的には面白い作品もありましたが、結局２０％を超えるようなヒットドラマがなく、ますますドラマ離れの様相を呈しているテレビ界。夏ドラマもあまり数字的には期待できないと思います。

　数字的に一番期待できそうなのはフジ系月曜夜９時『サプリ』。仕事命の女性ＣＭプランナーとアルバイトの年下男性の恋愛モノという今の「年下男」ブームをきっちりおさえた設定。主演は伊東美咲と亀梨和也。王道です。脇も瑛太、白石美帆、りょう、佐藤浩市と主演級を並べて万全の体制。亀梨はサーフィンが趣味という設定で、お姉さんファンにはサーフィンシーンも提供するという至れり尽くせりでＯＬのハートを狙い撃ち！うーん、企画書的には完璧なドラマですが、個人的にはあまり魅力を感じません。

　それよりも面白そうなのは「キワ物ドラマ」を発信し続ける日テレ系土曜夜９時『マイ☆ボス　マイ☆ヒーロー』。今回は知能レベルが小学生並みのヤクザの若頭が立派な組長になるために２７歳で高校に入学するという設定。相変わらずめちゃくちゃです。主演の若頭に長瀬智也。共演に手越祐也、田中聖、新垣結衣、香椎由宇、市村正親。この枠ならでは設定ですし、長瀬のコメディは定評がありますから期待できそうです。

　フジ系の火曜も期待大。夜９時は『ダンドリ。Ｄａｎｃｅ☆Ｄｒｉｌｌ』。普通の女子高生がチアダンスで全国大会を目指すという部活モノ。僕は高校生の部活モノが好きなので、この作品もとりあえず注目しています。出演は栄倉奈々、加藤ローサほかあまり実績がない思い切ったキャスティング。マニア受けにならないかが心配です。

　夜１０時は『結婚できない男』。こちらは一転して独身４０男が結婚するストーリーという大人向けの設定。主演に阿部寛、共演に夏川結衣、国仲涼子、塚本高史、高島礼子と安定しています。晩婚化の現代を象徴するようなドラマで面白そうです。

　ＴＢＳ系木曜夜１０時『花嫁は厄年ッ！』も結婚年齢の高齢化を象徴したドラマです。本厄を迎えた落ち目の女子アナがバラエティ番組で「擬似嫁」に扮するという内容で、主演にいま人気上昇中の篠原涼子。共演は矢部浩之、松嶋尚美、小沢真珠、佐藤仁美、岩下志麻。いかにもコメディなキャスティングです。コメディタッチのドラマが多いのは、やはり夏だから重たいドラマを気分的に避けたいからでしょう。

　ホームドラマの定番ＴＢＳ系日曜夜９時『誰よりもママを愛す』もホームコメディ。超愛妻家の父に田村正和、その妻に伊藤蘭。他に内田有紀、玉山鉄二、小林聡美。正直、この設定とキャスティングでは興味がわきません。強いて言えば小林聡美の演技は見たいですけど、他は予想がつきますしね。

　さて、軽めのドラマが多い中、それに真っ向から対抗しているのがＴＢＳ系金曜夜１０時『タイヨウのうた』。映画とドラマを違うキャストで一気に作るという新しいメディアミックスを試みています。難病ものの恋愛ドラマなんて夏にやるものかとも思いますが、裏をかいてきたのだとしたらＴＢＳもなかなかギャンブラーです。主演は山田孝之、沢尻エリカ。他に松下奈緒、田中圭、原史奈、要潤。ちょっとキャストが弱くないかな？

　もうひとつ欠かせないドロドロ系のドラマとしてフジ系木曜夜１０時『不信のとき　ウーマン・ウォーズ』。主演に米倉涼子、松下由樹と、ドロドロのドラマをやらせたらばっちりはまる２人。ただ主婦が米倉で愛人が松下というのは、逆の方がリアリティがありそうな気はします。他に石田純一、杉田かおる、石黒賢と濃い顔触れが並んでいて、この手のドラマが好きな人には良いかも。

　僕としては『マイ☆ボス　マイ☆ヒーロー』と『結婚できない男』に注目です。他は１回目くらいは見るかも知れないけど、多分見続ける気力はないかも。