幹事クリタのコーカイ日誌2005

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4月27日 ● 一人前になるための時間。

 JR福知山線の事故の件でひとつ気になったのは、運転手のキャリアが1年未満でかなり未熟に感じられたこと。過去にオーバーランなどを繰り返していたということですが、それ以前にそもそも経験1年にも満たないド新人が一人でラッシュ時の電車を走らせていたということが不思議というか怖いと思います。

 もちろん僕は電車の運転手がどれくらいで一人前に育つのかわからないので、もしかしたら1年未満の経験でも十分なんだとJR西日本の偉い人に言われたら「はあ、そんなもんですか」と答えざるを得ませんが、普通一般的な職業人の感覚からすれば、一人で仕事を任せられるのはせめて経験3年程度は積まないと無理ではないかと思います。

 我々広告制作の世界で一人前と呼ぶには少なくとも3年、普通は最低5〜6年はかかると思います。正直、本当に一人で任せて安心だと思えるには10年程度の経験は欲しいところです。僕はこの世界に入って22年ですが、それでもわからないことや知らないことがたくさんあります。もしかしたら一生一人前にはなれないのではないかと思うくらいです。

 知っている住宅メーカーの人事担当者に話を聞いた時も、営業マンが一人前になるには5年はかかると言っていました。5年未満の若手営業マンの教育育成は大きな課題だそうです。確かに広告代理店の営業でもやはり同じくらいの年数が育つのにかかると思われます。

 ましてや電車の運転手は多数の人命を預かる特殊な技能職です。本当の「プロ」と呼ぶにはやはり数年はかかっても不思議はありません。単に電車をまっすぐ間違いなく走らせるだけなら、数ヶ月の訓練でも何とかなるかも知れませんが、それはまだ一人前ではありません。なにせ自動車の運転だって1年未満なら若葉マークなんですから。

 どんな仕事であっても、順調な時は大丈夫なものです。問題は不測の事態でトラブルが起きた時に、自分の判断と力量である程度リカバリーできて、トラブルを回避収束させられるかどうか。それが一人でちゃんと処理できるようになって初めて一人前。今回の事故の原因が究明されないうちからあまり断定するのは早計だとは思いますが、少なくとも自分のミスをカバーするだけのこともできないような運転手は、とても一人前とは呼べないでしょう。

 問題は未熟な運転手にあるのではなく、そんな運転手に重要な路線を任せていたJR西日本の体制にあります。JR西日本の人材育成のシステムと、人事配置が適正に行われていたのかどうか、事故再発防止のためにもきちんと検証して欲しいと思います。


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