幹事クリタのコーカイ日誌2005

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2月2日 ● 一太郎販売促進判決。

 松下電器がワープロソフトの一太郎について自社の特許を侵害したと訴えて、それが認められてしまいました。これで一太郎は販売差し止め、在庫回収を命じられたわけですが、ジャストシステムが控訴すればすぐに従わなくてもいいわけで、当然控訴することでしょう。

 恐らくこの判決は、控訴しても覆らないだろうと思います。マウスをクリックするだけでヘルプモードに入るというアイデアは確かに松下のものだろうし、それを従来からキーボードでできたことだから特許にはあたらないというジャストシステムの言い分はちょっと苦しいでしょう。

 ただ「大松下」ともあろうものが、国産ワープロソフトとして黒船マイクロソフトワードと苦しい戦いをしているジャストシステムの足を引っ張ることはないんじゃないかという気はします。とりたてて大した発明というわけでもなさそうですし、松下がワープロソフトを開発して一太郎と競合しているわけでもありません。だったら、事はもっと穏便に済ませられたのではないかと思うのですが、敢えて世間を騒がせたのには、実は綿密な打ち合わせが松下とジャストシステムの間であったのではないかと僕は憶測しました。

 すなわち今回の訴訟は、ビル・ゲイツの侵略ぶりに辟易していた松下とジャストシステムが、一太郎の劣勢を挽回するために仕組んだ出来レースだったのです。かつてワープロソフトと言えば一太郎が代名詞だったのに、今ではすっかりユーザーは減ってしまい、知名度も凋落の一途。そこで松下とジャストシステムが喧嘩してみせることで、改めて一太郎の一般への認知度を上げるとともに、細かなヘルプ機能までついていて初心者にもわかりやすいワープロソフトであることもニュースを通じて浸透させます。実際、昨晩きちんと各局がそう報じてくれました。

 そして店頭から回収されるというニュースに触れた消費者の駆け込み購買心理を煽るとともに、「ユーザーは使っても大丈夫」という断りもきちんと報道することで、安心して先進機能を使ってもいいんだと刷り込みます。そうして控訴しているうちに「一太郎2004」を売り切って、改めて松下と手打ちをした上で「一太郎2005」を発売、松下のパソコン「レッツノート」にも標準でついてくるという戦略です。もちろん、この経緯は逐一マスコミが報じてくれるので、タダで莫大な宣伝効果が上がります。

 マスコミから裁判所まで巻き込んだなかなか巧い販売促進プランです。ただジャストシステムは判官贔屓もあってイメージ的にも得しますが、松下は「弱い者いじめ」という印象がどうしてもしてしまうので、タイミングよく手打ちしないとなりません。まあ元来「マネ下」と言われる会社だけに、たまには自社の特許もマネされるくらいあるんだという技術力アピールになったので良いのかな。


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