いつになったら白河の関を越えるのかと言われていた高校野球選手権の大旗が、東北地方を飛び越えて津軽海峡も渡って北海道まで行ってしまいました。驚きの駒大苫小牧の優勝です。

　駒大苫小牧は強いとは聞いていましたが、そうは言っても所詮は北海道レベル、全国ではせいぜいベスト８止まりだろうと思っていました。それが猛打であれよあれよと勝ち上がり、決勝で春夏連覇を狙う本命済美との対戦も、猛烈な打ち合いの果てに制してしまいました。

　今大会、注目は東北高校でした。ダルビッシュ最後の夏、いよいよ東北に初めて優勝の栄冠が輝くのかと期待されていました。白河の関を越えることができるのはダルビッシュしかいないと思っていたのです。

　その東北高校は、実力を発揮できないままに敗退していき、また中京大中京、ＰＬ学園、天理、広島商、明徳義塾など、甲子園常連校も途中で破れてしまい、勝ち残ったベスト４の面子を見ると、もはや済美の春夏制覇はかなり高い確率で達成されそうな予感がしました。

　決勝戦も最初に５対１と済美がリードした時に、それは確信へと変わりました。北海道に優勝旗が行けばいいなと判官贔屓で思いましたが、それはあくまでも希望であり現実に駒大苫小牧が逆転できるとはとても思えなかったのです。

　ところが、そこから猛烈な打ち合いが始まります。済美の主戦福井が疲労を溜め込んでいたせいもあるとは思いますが、駒大苫小牧のバッターたちは、みんな思いっきり強振していました。その振りの鋭さは、とても北海道のチームとは思えませんでした。

　札幌ドームが誕生し、日本ハムが本拠地を移した今年。北海道の野球が変わったことをを感じさせるスイングでした。