幹事クリタのコーカイ日誌2004

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5月26日 ● 理想のカタチ。

 北朝鮮拉致家族が帰国しました。とりあえず5人。それはそれでもちろん良かったのでしょうが、「これで終わらせてはいけない」という声が満ち満ちていて、小泉訪朝の評価は微妙になっています。これから先が大事だということは、誰もがわかっていますから、小泉に対して現時点であまり甘い評価をすべきではないと思います。

 それとともに北朝鮮から日本に連れてこられた子どもたちが、本当にそれで幸せなのか、という議論もあります。北朝鮮なんかにいたら不幸に決まっている、両親と一緒にいる方が幸せに決まっている、日本人なんだから日本に住むのは当たり前だ、そんな決めつけを僕はとても肯定する気にはなりません。

 物心ついたかつかないかの幼子ならともかく、子どもと言えども自我が確立した年齢になれば、幸不幸は本人の主観によります。他人が端からとやかく言うことではありません。親と一緒に住むことがそれほど幸せかどうか、日本のありふれた家庭を見ていたって必ずしもそれが絶対的真理ではないことはわかります。10代も後半になると、むしろそろそろ親離れしたい時期なのですから。

 ましてや生まれ育った国から無理矢理引き剥がされて未知の国に連れてこられたら、どちらが幸福と言えるのか、ますます僕にはわかりません。いくら北朝鮮が貧しくて日本が豊かだとしても、です。彼らは難民のように食うや食わずや生活をしていたわけではないのですから。

 また、彼らは偏った教育を受けているから日本に住める幸せをわからないだけだ、というのも一方的な決めつけです。そもそも日本の教育を受けていないことが、彼らが将来日本人として生きていくためにはどれほどマイナスになるか、ちょっと考えればわかります。言葉も慣習も文化もわかりません。日本人としての常識も持てず、日本人社会のネットワークもありません。だから日本人として生きていく彼らのために、どれだけ手厚いフォローができるのかが問題となります。仮に5年先10年先は大丈夫でも、30年、50年先のことは誰にもわかりません。

 もちろん、だからと言ってそのまま北朝鮮に子どもたちを残しておけばいいとは僕も思いません。とりあえず彼らを日本に連れてきて、改めて事実をきちんと伝え考える時間を与えることは必要だと思います。その上で、じっくりと本人たちが考えて、どちらの国に住みたいかを選べば良いのです。

 だから、理想のカタチは日本と北朝鮮のどちらにも自由に行き来することができ、両国をつなぐカタチで彼らが生活できるのが一番です。そのためには日朝の国交正常化はもちろんのこと、北朝鮮自体が民主的な国家に変わる必要があります。それを実現するためのハードルは多くかつ高い。だからこそ、小泉は5人を帰国させただけで幕引きしてはならないのです。これからです、これから。


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