幹事クリタのコーカイ日誌2004

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3月18日 ● 世代間格差よりも。

 50代・60代・70代に好きな歌手・聴きたい歌手を調べたアンケート結果というのがあります。それによると、60代と70代は1位〜4位までが全く同じ(1位美空ひばり、2位石原裕次郎、3位氷川きよし、4位フランク永井)なのに対し、50代は大きく順位が変わり、1位ビートルズ、2位サザンオールスターズ、3位中島みゆきとなり、ようやく4位に美空ひばり、5位石原裕次郎と60代以上と共通する歌手が登場します。

 つまり50代と60代の間で演歌からロックへと音楽についてのパラダイムシフトが行われたということがハッキリみてとれるわけです。恐らくさらにこの調査を細かくみていけば、50代のどこで演歌世代とロック世代の境目があるかもわかることでしょう。4位・5位にひばりと裕次郎が現れるのは、50代後半は60代以上と同じ嗜好を持っているからだと推察されます。ビートルズやサザンを好きな人が、ひばり・裕次郎を支持するとは思えません。ましてこの調査の50代6位は山口百恵、7位には松任谷由実です。多分、サザンやユーミン、中島みゆきは30代はもちろん、20代でも上位に入ってくることでしょう。親子ほどの年の差があっても同じ歌を好きと言える時代になったのです。

 こうした意識の変化は多分音楽だけの傾向だけではなく、あらゆる文化的ジャンルで起きていることが予想されます。つまり、旧来はオジサンオバサン、まして熟年世代と若者は文化を共有できないと考えられ、テレビ番組にしろ出版物にしろファッションにしろ遊び場にしろ、世代によってセグメントされて発信されてきました。ワカメとサザエさんとフネさんの間では、同じ音楽、同じお笑い、同じ雑誌、同じ服を共有できなかったのです。

 ところが今や10代から50代まで同じものを心地よいと感じられる時代になってきました。母親と娘が同じ服を着回すというのはすでに10年以上前からあった現象ですが、もうしばらくすると、祖母と孫が同じ服を着るようになるかも知れません。14才の娘が着ている服を、36才の母親と58才の祖母が お揃いで着る時代が近づいているのです。

 ましてや先に挙げた音楽や映画やドラマ、雑誌やマンガや小説、そしてゲームや遊園地などの遊び方にいたるまで、世代間の格差は少なくなるばかりでしょう。むしろ同世代の中でも好みによって全然違う嗜好を持つ多様なグループに分かれていくように思います。ハードロックが好きな人は10代から50代まで幅広く分布し、共通して同じ音楽を楽しめますが、それとは全く交わることなく小田和正が好きな人も、小曽根真が好きな人も、やっぱり10代から50代までいて、それぞれに好きな音楽を楽しむのでしょう。同様に「ナンバー」を読む人、「anan」を読む人、「ダカーポ」を読む人も、世代の差よりもむしろ文化的嗜好の差で分かれるのです。

 今後は世代でセグメントするよりも、そうした文化的嗜好の違いでグループ化してマーケティングしていく方が、もしかしたら正解なのかも知れません。


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