幹事クリタのコーカイ日誌2004

[ 前日翌日最新今月 ]


 
3月8日 ● つまらない女。

 僕が新入社員の時のことでした。数年上の先輩に飲みに連れていってもらった時、その先輩は我々新人を前にカッコつけて説教をぶっていました。いろいろ言われた割に、その内容はほとんどすぐに忘れてしまいましたが、ひとつだけ印象に残った言葉がありました。

 「つまらない男とやらせない女とは付き合うな、得るモノがなく時間のムダだ」

 当時の僕たちは「この人はなんてカッコイイことを言うんだろう、さすが広告代理店の人間は違うなぁ」と、相当憧れの眼差しで頷いてしまいました。そうだよな、つまらない男と付き合うのは時間のムダだし、やらせてくれない女はもっと時間のムダだよなぁ、うんうん、なんて思わずメモしそうな勢いでした。

 21年前のことです。まだまだ男社会の世の中で、でも女性の社会進出が声高に叫ばれていて、フェミニズムが勢いを増していました。ミスコンが問題視され始め、セクハラという言葉もそろそろ出てこようかという時代です。今ならもちろんこんなことを言うと白い目で見られますし、当時でも公には言えませんでしたが、飲み屋でなら「なかなか男前やんけ」と許されていたのです。

 しかし、実際に仕事を始めてみたら、この先輩の発言はちょっと違うな、と僕は感じるようになりました。まず「つまらない男」なんて言っても簡単に人を判断できるものではないということ。若い時は自信過剰ですから(その割にはすぐに自信喪失して落ち込むんだけど)、すぐに「こいつは大したことない」なんて人にレッテルを貼って安心したがるものですが、実は人間はそんな単純なものではありません。相手をよく知ろうともしないで、「つまらない男」だと決めつけてしまうと、自分の方がもっとつまらない男になってしまいます。

 そして「やらせない女」。これは先輩の言うことは全く間違っていました。むしろ、なかなか「やらせない女」の方が付き合って面白くて、簡単に「やらせる女」ほどつまらないものはありませんでした。カラダの関係だけを武器にしている女というのがいますし、そもそも「やる」「やらない」しか興味のない女ほどつまらないものはありません(もちろん、それは男でも一緒ですが)。

 「つまらない女」と言うのは要は恋愛、もしくは結婚以外に興味のない、他に自分の世界を持たない女でした。もしかしたら、それ以外の世界もあったのかも知れませんが、男に対してはその側面しか見せない女はそれだけで終わってしまう「つまらない女」でした。だからもちろん「やらせない女」でも、男を引っ張るために戦略的に「やらせない女」は「つまらない女」でしたし、逆にすぐに「やらせる女」であっても、中には人間的にも奥が深い素敵な女性はいました。

 ただ、お手軽に「やらせる女」との間には、所詮お手軽な関係しか築けません。お手軽な関係で得られるものも、それだけのお手軽な経験です。「やらせない女」だけど、それでも付き合っていたいと感じる女と、時間をかけてじっくりと信頼関係を深め、いつかそういう仲になるのが一番得るものが多いのです。だから「すぐやらせるつまらない女と付き合うな」という言葉こそ、先輩は新人に贈るべきだと思います。

 

とりあえず、読むたびに(1日1回)

を押してください。 日記才人という人気ランキングに投票されます。
初めての方は、初回のみ投票者登録画面に飛びます。
結構更新の励みにしていますので、押していってくださると嬉しいです。