今年一年、ずっと女性に関して元気がなかったＭっちゃん。かつてはあれほど合コンだ、出会い系だと張り切って戦場を駆け回ってきたのに、40代も半ばになってすっかり今は退役軍人の風情で、縁側で茶をすすりながら遠い戦場の思い出話を繰り返すばかりの日々でした。

　しかし、ここにきてにわかにＭっちゃんの身辺がキナ臭くなってきました。自衛隊のイラク派遣に呼応するかのように、Ｍっちゃんも再び戦場に身を投じようしているのです。

　きっかけは「勃動力」でした。ほとんどの人には聞き覚えのないであろうこの名前（知っているあなたは、ちょっと日頃の生活態度に問題ありだと思います）、実は中国製の回春薬らしいのです。

　Ｍっちゃんの怪しい友人が、その師匠（なんの師匠かと言うと、ＳＭの師匠。その道では全国的に名の知れた大家なんだとか）から譲り受け、それをＭっちゃんたち悪友連中に回してくれたのだそうです。

　最初はその効果を疑っていたＭっちゃんも、悪友一同が「あれは良いよ」と口々に言うのを聞くに及んで、ものは試しとばかりに、その怪しい薬を飲んでみたそうです。するとものの30分くらいでググーンと元気になってきて、「あっという間に3回」という絶大な効能があったんだとか。

　かつてはバイアグラも飲んだことがあるＭっちゃんは、「バイアグラより絶対に良い」と力説しています。バイアグラは「カラダだけに効く」そうで、心は平静なままなのに、カラダだけがギンギンに反応してしまうので、気分の盛り上がりがなく実は男にとってはつまらないんだとか。それに比べて勃動力は「身も心も盛り上がる」から、気持ちの良さが断然バイアグラより上なんだと力説してくれました。

　まるでドラッグのように劇的な効果があるみたいなので、副作用とか中毒症状がないのか心配ですが、Ｍっちゃんによれば勃動力は「バイアグラと違って漢方だから副作用もなくカラダに良い」ということです。いくら漢方でも30分で効いてくるなんておかしいと思うのですが、Ｍっちゃんはちっとも疑っていません。

　1錠500円でとりあえず20錠をその友人から仕入れたＭっちゃん。これで銃に弾は詰めた、後は戦場に出て発射するだけだ、と張り切っています。かつてのように肉体ひとつではなく、武器に頼るところが少々情けないですが、もしかしたら来年はＭっちゃんの話が、もっとこの「コーカイ日誌」を彩ることになるかも知れません。楽しみです。