中曽根と宮沢に引退勧告をした小泉首相。宮沢はあっさり受け入れましたが、中曽根は激怒して「失礼だ」「政治的テロだ」と言いたい放題です。しかし、いくら中曽根が頑張ったところで、世の中の風は彼に吹いてはいません。かつて「政界風見鶏」と言われた人なのですから、風向きくらいは察知すべきです。

　そもそも「終身1位」なんて世間の常識から外れたおかしな約束をいつまでも守ってもらえると思っている方がおかしいわけで、そんなピュアなことを言っている中曽根クンは、もう政治家としてはダメだなぁ、と逆に思えてしまうわけです。「青年将校」「ロンヤス」「不沈空母」を経て「大勲位」、そして「終身1位」。これ以上キーワードを作らなくても良いから、さっさと引退した方が晩節を汚さずに済むことでしょう。

　それにしても小泉は人事が巧みです。道路公団の藤井某と中曽根・宮沢を単に辞めさせただけではなく、これだけ世間の耳目を集め、彼らをヒールに仕立て上げておいて、総選挙前に決着をつける。これでまた「コイズミやるじゃん」ということになって支持率が上がるという算段です。

　藤井は「民由合併のタイミングで解任されるなんて、人事を政治的に利用している」と反発しましたが、首相が行う人事は全て政治的なものに決まっています。使えるものは何でも使う、というくらいでなくては、政治家としては頼りになりません。中曽根が「政治的テロだ」と叫んでも、そのテロに対抗するのが政治家なのであって、完全に中曽根は小泉に遅れをとっています。

　今回の総選挙では民主党躍進かとマスコミで囁かれていますが、こうして着々と小泉が手を打っている様子を見ていると、意外と自民党強いのではないかと思ってしまいます。後は株価次第かな。投票日前にググッと株価が上がれば、それだけ経済回復の兆しということで自民党に有利でしょう。先日株価が11000円を超えて、そこから急落しましたが、11月9日に向けて再び上がっていったら、自民党万々歳だと思います。