幹事クリタのコーカイ日誌2003

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9月16日 ● 18年前とは違う。

 1985年、あの奇跡の吉田阪神、いやバース阪神の優勝は克明に覚えています。4月、槇原から打ったバックスクリーン三連発、そしてその勢いのままに当時最強を誇った西武すらも叩きのめして、21年振りのリーグ優勝と初の日本一を果たした阪神は、中日ファンの目から見ても実に最高でした。

 個性的な選手が揃い、とにかく守りよりも打つだけのアンバランスさ、西武に代表されるような当時流行の完成された管理野球へのアンチテーゼとして、心情的にも応援したくなる魅力的なチームでした。

 さらに良かったのは、そのチームが瞬く間に崩壊してしまったこと。バースが、掛布がチームを去り、2年後の1987年にはまた最下位へ転落してしまったのです。まさに一瞬の輝き。それだけにいつまでも語り継がれるチームたり得たのです。

 それに比べて今年の阪神はそつがないチームです。ホームラン打者はアリアスだけ。後はみなきっちりとチームのために「つなぐ」バッティングをする選手ばかり。1985年はなんで勝てるのか、と思うような弱体投手陣だったのに、今年は井川を中心に先発も抑えもしっかりしてチーム防御率もリーグ最高。何もしなかったから勝てたと言われていた吉田監督と違い、まさに「星野阪神」の名に相応しい監督の統率力、また適切な補強を成功させたフロントの力。阪神は変わってしまったのです。

 今年のチームは来年もきっと優勝争いをすることでしょう。連覇できるかどうかはわかりませんが、少なくとも数年間は上位で常に優勝争いをしそうな雰囲気を漂わせています。星野監督のことだから、優勝したからと言ってチーム改革に躊躇することなく、今年のように生え抜きを放出し、他球団の有力選手を獲得して、チームに刺激を与え続けるに違いありません。

 優勝に沸く阪神ファンに水を差すようですが、残念ながらこんな阪神には僕は1985年のチームほどの魅力を感じません。だって今年の阪神は、西武や巨人やダイエーの成功事例を参考にしての優勝だからです。1985年とは全く違うコンセプトで勝ったからです。勝つべくして勝ったことに文句を言うのはおかしいかも知れませんが、阪神の美学は「敗者の美学」だと長年言い続けてきた阪神ファンは、これまでの言い分を翻して、これからは巨人のように補強を重ねてそつのない野球をする強い阪神に喜ぶのでしょうか?それともあくまでも「美学」に殉じてくれるのでしょうか?

 優勝に大騒ぎするファンを見ていると、苦節18年の喜びは理解できるものの、どこかで内心「こんなのは阪神じゃない」と落ち着かない長年のファンもいるのではないかと醒めた目で観察してしまいます。若者と「にわかファン」が単純に騒いでいるのは、W杯にノリで騒ぐ連中と一緒だとしても、屈折した阪神ファンもきっとたくさんいることでしょうから。またそんなファンがいてこそ阪神でしょ、と思っているのもまた事実。


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