先日テレビで映画『チキチキバンバン』を放映していました。1968年のミュージカル映画で、『メリーポピンズ』と並ぶディック・バン・ダイクの代表作ですが、僕は未見の作品でした。最初は暇つぶし程度に見るともなく見ていたのですが、ついつい面白くて最後までじっくりと楽しんでしまいました。

　まあ定番の作品だけに今さら映画自体について感想を語っても仕方ないのですが、見ていて強く感じたのは宮崎駿監督への影響です。もしくは宮崎アニメとの類似と言ってもいいかも知れません。とにかく『チキチキバンバン』を見ていると、至るところに宮崎アニメと良く似たシーンが展開するのです。

　空を飛ぶシーンはもちろん、空中戦の雰囲気や雲の中へと入っていく様子、ヨーロッパの古城や村の佇まい、集団でのてんやわんやもカーチェイスも、宮崎アニメの特に初期から中期の作品と実に良く似ています。『カリオストロの城』や『天空の城ラピュタ』あたりは特に影響が濃いような気がしました。

　これはもしかしたら宮崎ファンの間では「今さら」という周知のことなのかも知れませんが、僕は『チキチキバンバン』を見たことがなかったので今まで全く気づきませんでした。映画を見ていて「こりゃ宮崎アニメそっくりじゃん」と思い、後で宮崎アニメが真似をしたんだと気づいたくらいです。

　最近ミュージカルと言うのは映画の世界からすっかり姿を消してしまい、舞台ばかりが話題になりますが、1950〜1960年代の黄金時代の作品はやはり見応えがあります。僕はこの時代の映画には少し遅れた世代なので、これからじっくりと楽しんでいこうと考えています。