またもや貴乃花休場です。二日目の雅山との一戦で、二丁投げをくらって宙に舞い背中から叩き付けられながらも、審判員の依怙贔屓判定で取り直し。なんとか白星を拾った形になりましたが、その代償に左肩を痛めてしまいました。

　これで貴乃花の休場は歴代横綱最多の17場所。もちろん不名誉極まりない記録です。普通ならこんな記録を残してまで土俵に執着するのはおかしいと思いますし、協会も引退勧告をして不思議はないくらいの状況です。傷だらけのカラダで、もはや土俵にもまともに上がれない横綱など、見ていても痛々しいだけだし、横綱として何の責務を果たしていません。

　協会は回復を待つ、なんてずーっと言い続けていますが、もちろん協会が怖れているのは「貴乃花」という大看板を失って興行が成り立つかどうか、という心配です。かつての若貴ブームは遠く過ぎ去り、今や大相撲はすっかり魅力を失ってしまいました。でかいだけで技の切れもない大味な相撲内容に、怪我人ばかりでガタガタの番付。新しいスターは生まれず、ベテランは元気なくただ土俵を務めるだけ。こんな状況で一体誰が大相撲を見るのでしょうか。

　だからこそ貴乃花に頼りたい協会の気持ちはわからないでもないですが、逆に普通ならとっくに引退しているような横綱をいつまでもさらし者にしていることが、余計にファンの大相撲離れを加速していると思います。雅山戦の物言いに抗議の電話が殺到したというのもその表れです。

　古い力士が退場することで、見通しが良くなることもあるはずです。いつまでも貴乃花に頼って古い「若貴」の夢を見ていないで、そろそろ新しい土俵を作ることを目指す時期ではないかと思います。