幹事クリタのコーカイ日誌2002

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11月25日 ● ガラスのエース。

 全日本テニス選手権の男子決勝は、日本のナンバー1鈴木貴男とナンバー2本村剛一との戦いになり、第2セット途中で左足を痛めた鈴木が第3セットで途中棄権したため、本村が3回目の優勝を果たしました。

 多分、スポーツニュースの中で紹介されても、恐らくこれだけの情報しかないことでしょう。一般にはさして興味があるニュースではないことでしょうが、テニスファンとしては、鈴木貴男の怪我の具合は極めて気になるところです。テレビで見ていた分では、痛めてからもかなりプレーしたので、無理して傷を深くしたのではないかと心配な感じでした。

 この全日本決勝戦、ファーストセットの鈴木は素晴らしい出来でした。サービスエースはバンバン取るし、ストロークの展開からのネットへの詰めも速くボレーの切れも抜群でした。唯一のブレークとなったゲームのバックハンドでのリターンエースは、まさに惚れ惚れするような見事なショットでした。怪我さえしなければ、あのまま鈴木が本村を破って優勝していたことでしょう。それほど本村には勝機の薄い鈴木の充実振りであり試合内容でした。

 鈴木のアジアのライバルと言うとタイのスリチャパンですが、彼は今年アガシやヒューイットを破る大活躍で一気にブレークし、今では世界ランキングを20位台にまで上げてきました。スリチャパンがそこまでいけるのなら、長年アジアで競い合ってきた鈴木だって難なくトップ50入りくらいはできると思います。

 鈴木の敵は故障です。今回だけではなく、過去にも鈴木は好調にランキングを上げてきては怪我に泣いていました。その様は先代のエース松岡修造とよく似ています。思うに、体格に恵まれている訳ではない鈴木が、あれだけの高速サービスを打ち込み、素早いフットワークでネットに詰めて、会心のボレーを決めるには、カラダの持つパワーをフルに酷使し続けていく必要があると思います。

 同じことをサンプラスやラフターなら70%のパワーでできるのに、鈴木は90%以上のパワーでこなしているのです。となると、安全のためのマージンにも大きな差が生じてきてしまいます。それが故障というカタチで何回も鈴木を襲うのでしょう。

 世界屈指のビッグサーバーだった先輩松岡修造も同様でした。何回も故障に悩み苦しみながらの現役生活を彼は送っていました。世界を相手にして勝つには無理をしなければならないのです。同じだけの余裕を持っていてはとてもトップに追いつけないから、ギリギリで戦うことを余儀なくされて、そして故障するのだと思います。

 松岡や鈴木を「ガラスのエース」だと呼ぶのは簡単ですが、それはギリギリ極限まで自らを追い詰めている証拠でもあります。鈴木の故障が軽いものであることを、来年1月の全豪オープン予選には間に合うことを願っています。


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