幹事クリタのコーカイ日誌2002

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8月10日 ● 高校野球をドームで。

 今年も夏の甲子園が始まりました。酷暑の中、郷土の代表チームが熱戦を繰り広げる高校野球は、大人のノスタルジーをそそります。特にお盆で故郷へ帰っていたりすると、ますます郷土愛から盛り上がることでしょう。

 しかし、高校生にとっては夏の甲子園ほど過酷なゲームはありません。暑さと慣れないホテル住まいと連戦で、体力・精神力ともにギリギリのところに彼らは追い込まれていきます。それをまた「青春の熱いドラマ」とか言って朝日新聞は煽る訳ですから、まさに甲子園は現代のコロシアムです。将来を嘱望される投手が毎年のように肩を壊して去っていく場所なのですから。

 精神主義が横行した時代ならこれも許されたことかも知れませんが、今やこの「甲子園方式」は、教育的でないどころか人道的にも見過ごせないところまで来ているのではないでしょうか。カラダを壊してまで野球をするなんて、将来を嘱望されていない選手だってするべきではありません。スポーツで健康を害しても仕方ないと諦められるのは、それを興行として行い報酬を得ているプロフェッショナルだけです。彼らはプロですから、ある程度のリスクは覚悟の上でしょうが、高校生が部活でやっているのにカラダを壊して良い訳がありません。例えプロ予備軍だとしても、です。

 で、カラダを壊さないための方策は簡単です。暑くないところでやる、連戦を避ける。この二点で、高校生がグッと楽になるのは自明のことです。そのためには「甲子園」という麻薬を捨てて、空調の効いたドーム球場で高校野球を行えば良いのです。

 札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5つのドーム球場を使えば、暑さを凌げるだけではなく、日程もかなり楽になります。日程が楽になれば試合数も増やせますから、今のようなトーナメント一発勝負ではなく、サッカーW杯のように予選リーグ戦と決勝トーナメントという日程も組むことが可能になります。そうなれば今よりも遥かに運や体調に左右されずに真の勝者を決めることができるようになります。

 応援団も酷暑のアルプススタンドで頑張る必要もなく、また大阪や兵庫の代表ばかりが「地元の利」で勝ち進むことも少なくなるでしょうし、北海道や東北の代表が慣れない暑さに苦しむこともなくなります。さらに阪神タイガースの「死のロード」がなくなり、各球団がそれぞれ少しずつ遠征すれば良くなりますから、プロ野球の日程も不公平が少なくなります。

 良いことばかりです。悪い点と言えば、これまで甲子園の魅力として語られてきた数々の「仕掛け」がなくなることです。炎天下の熱戦であり、銀傘に響く歓声であり、青空に吸い込まれる白球であり、泣きながら持って帰る甲子園の土であり、一回負ければ全てが終わる夏であり。そう言った数々の舞台設定から生み出されるドラマがなくなってしまいます。

 そんな大人たちの手から、本当にプレーする高校生に、そろそろ高校野球は返してやった方が良いと僕は思います。朝日新聞が商売上手放したくない気持ちはわかりますが、同時期に行われているインターハイは、全て高校生を主役として金儲けとは無縁のところで行われているのですから。


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