幹事クリタのコーカイ日誌2002

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8月3日 ● 樋口一葉と野口英世。

 唐突に紙幣のデザインが変更になることが発表されました。まだ現在の福沢諭吉・新渡戸稲造・夏目漱石というラインアップになってから、それほどの時間が経っているとは思えないのですが(でも20年ぶりだって)、偽造防止のためというのが理由のようです。

 アメリカの米ドル紙幣なんて、ずっと同じデザインのような気がしますが、時々意匠替えをしているのでしょうかね?あのチャチなドル紙幣は、日本の精巧な紙幣に比べてはるかに偽造しやすいように思えますし、世界の基軸通貨ですから、実際かなり偽造紙幣が出回っていると思われますが、それでもワシントンやジェファーソンやリンカーンが交代するという噂はありません。それに比べると、今回の交代は早すぎるのではないかという気がしなくもありません。

 もっとも、肖像が変わるのは五千円札と千円札だけで、一万円札の福沢諭吉は続投。これは将来的に噂される五万円・十万円の高額紙幣に聖徳太子を起用するために、一万円は福沢諭吉のままでも良いか、ということではないかと僕は睨んでいます、が、今の景気では当分ないのかも。

 で、新五千円札は樋口一葉、新千円札は野口英世。まあ無難な人選です。前回から毀誉褒貶の激しい政治家をやめて文化人シリーズに路線を変更し、しかも今回はさらに一歩進んで文系だけではなく理系や女性を起用するというのは正常進化です。特に野口英世は人格的にも業績的にも誰もが認める世界的細菌学者であり、これに異を唱える理由を探すのは難しいところです。

 五千円札の樋口一葉。女性を紙幣の肖像に起用したという事例は、かつて神功皇后の例が1880年代にあっただけで、それも日銀券ではなく補助紙幣だったとか。後は強いて言えば現在の二千円札の紫式部、ということになりますが、これも肖像扱いではないですしね。だから21世紀になり、女性を肖像に起用するというのは大変に好ましいことだと思いますが、樋口一葉というところが微妙です。

 そもそも偽造防止が目的なら、なるべく髭やら皺やらが多い個性的な顔の方が良いはず。だからこそ過去の紙幣の肖像は皆、功なり名を遂げた偉人たちだったと聞いています。夭折した樋口一葉ではツルッとしていて、偽造は比較的簡単でしょう。もちろん技術が進んだからこそ髭のない彼女でも肖像に起用できるということなのでしょうけど。

 それに樋口一葉という人は顔以外も印象が薄い人です。「にごりえ」「たけくらべ」などの作品は文学史の授業で教わったと言っても、実際に読んだことがある人はどれほどいることか。人柄にまつわるエピソードも少なく、「貧乏だった」こと以外に、あまり具体的なキャラクターが浮かんできません。良くも悪くもイメージがないからこそ、紙幣の肖像としては無難なんだとは言えますが、ちょっと面白みやメッセージ性が足りません。お札の人物は、ある意味、国が「かくあるべし」と定めた理想的な人物なのですから、特に子どもたちに対してメッセージできるような生き方をした人が良いと思います。

 そういう意味で、僕が財務相として(紙幣のデザイン変更は財務相の管轄だとか)紙幣に女性を起用するなら平塚雷鳥か与謝野晶子を選びます。政治家のジイ様たちは嫌うかも知れませんが、男に伍して生きていける強く奔放な女性の方が、ずっと魅力的だと思いますし、これからの日本を元気づけてくれるような気がするからです。


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