幹事クリタのコーカイ日誌2002

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7月1日 ● ブラジルサッカーの勝利。

 1ヶ月間、思いもよらず日本中を熱狂させたW杯も、ブラジルの優勝で幕を閉じました。決勝戦は予想通りにブラジルの誇る攻撃陣がドイツに襲いかかり、鉄壁のGKカーンから2点を奪い取ってしまいました。ゴールを決めたロナウドのスピードも素晴らしかったし、それをアシストしたリバウドの動きも見事でした。カーンは特に1点目を悔やんでいることでしょうが、スリッピーな雨中のゲームだっただけに、仕方ない面もあると思います。

 今回のブラジルの優勝について、我々のような素人は単純に面白がっていますが、ヨハン・クライフら専門家筋ではあまり評判が良くないようです。個人技に頼った古典的サッカーで、戦術戦略がなく、ある意味これまで積み上げてきたサッカー理論の敗北であるというのです。

 確かに監督・指導者の立場から見ればそういうことになるのかも知れません。とにかく3Rにボールを渡しておけば、勝手に守備陣を切り裂いて得点を挙げてきてしまうのですから、理論もへったくれもないということなのでしょう。まるで掛布のようですが、野球に喩えれば1985年の阪神タイガースのようなものです。バース、掛布、岡田、真弓に当たるのが、ロナウド、リバウド、ロナウジーニョ、ロベルト・カルロスです。

 しかし、観る立場からすれば、選手が駒のように規律的に動く組織的サッカー(野球)というは、あまりわくわくするものではありません。そこには個々の選手の身体を使うアーティストとしてのきらめきがあまり感じられないからです。「見事に統一されているなぁ」と感心はします。しかし、北朝鮮のマスゲームと同じく、それは心を揺り動かすだけのパワーにはなりません。

 むろん、彼らは感動させるためにサッカーをやっているわけではなく、ゲームに勝つためにサッカーをやっているのですから、個人技で勝とうが組織サッカーで勝とうが構いません。ただクライフが心配するように、今回のブラジルの個人技による優勝が、世界のサッカーに悪影響を与え後退させるとは思えません。あんなサッカーは目指しても目指せるものではないからです。むしろ、ブラジルのような個人技を持たない国々が、ブラジルを破るためにさらに組織的なサッカーを磨き上げることになるはずです。

 個人の能力を高めることと組織のパフォーマンスを向上させることは、決して相反するものではなく、それぞれに高め合っていくのが当然でしょう。ブラジルサッカーの勝利は、改めて個人技の重要さを見直すとともに、それを超える戦術戦略もまた研究される契機になると思います。


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