Ｗ杯の陰でこそこそとやっているプロ野球ですが、いつの間にかセ・リーグは巨人が首位固めをしています。阪神はずるずると後退を続け、一時期上位を窺っていた中日も阪神と一緒になって、負けを重ねています。

　そんな中日にキューバの至宝リナレスが入団するというビッグニュースが飛び込んできました。キューバが野球交流のために日本のプロ野球に送り込むということで、半分以上は将来指導者になるために国外の野球を学ぶという「研修」が目的のようです。

　研修ですからリナレスの報酬は月額約50万円弱だとか。ちょっと割の良い派遣社員並み。他の外国人選手の高額な年俸を考えたら「タダ同然」です。あれほどの打者をそんな報酬で使えるのなら、中日は大儲けと言っても良いのですが、世の中「タダより高いものはなし」という諺もあるように、山田監督は実は頭を悩ませているようです。

　なにせきちんと通常のカタチで交渉・契約して入団させたのなら、もしダメだったらさっさとクビを切れば良いのですが、交流目的で来たリナレスを、調子が悪いからと言ってクビも切れませんし、簡単に二軍に落とすことすらできません。打てなくてもある程度は我慢して起用を続けなければならないとすると、チームのブレーキになるばかりではなく、他の選手のモチベーションを下げることにもなります。

　もちろん額面通りにリナレスが打ちまくれば問題はありません。中日に足りない右の大砲ですから、素晴らしいカンフル剤となって、一気に巨人を追撃することができるでしょう。大きな賭けをいきなり、かつ否応なくやらされる山田監督の心中はいかばかりでしょうか。