幹事クリタのコーカイ日誌2002

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6月26日 ● キムタクの力技。

 一昨日、フジ月9ドラマ『空から降る一億の星』が最終回を迎えました。北川悦吏子が初めてサスペンスドラマに挑み、それを木村拓哉、明石家さんま、深津絵里という豪華キャストが演じるということで、この春のドラマで一番の話題作だったのですが、最後はちょっと尻すぼみで終わってしまいました。

 すでにあちらこちらで書かれていることですが、このドラマの最大の難点は、当初から心配されていたように「北川悦吏子にサスペンスが書けるのか?」という点で、結論から言えばやはり「ダメ」だったわけです。視聴率が思うほどに伸びなかったのは、僕も脚本の稚拙さによるところが大きいと思います。

 30年くらい前の少女マンガのような設定と偶然のてんこ盛り、そんなわきゃないだろ、と突っ込みを入れたくなるようなリアリティの欠如、底の浅い見え見えの伏線、その割には説明不足で訳がわからないところもあるし、狭い人間関係の中でだけドラマが回っていて広がりがなく、物語としての立体感もありません。

 北川らしいところと言えば、やはり台詞回しの上手さ。さんま、木村、深津が、それぞれに掛け合いをする場面はテンポも良く楽しめました。彼女は大きな物語を作る人ではなく、細部のディテールに面白さが宿るライターなのだと思います。

 ではなんだかんだ文句を言いつつ、結局最後まで見てしまった要因は何かと言えば、やはり主役3人、中でも“キムタク”の存在感によるところが大きいと思います。最終回、とよた真帆をいきなり射殺するシーンでの木村の凄みは、そこらの若手男優では出せないと思います。演技力と言うと少々違う、“キムタク”の存在としての強さが、脚本の粗を無理矢理覆い隠して、このドラマを力技で最後まで引っ張ってしまいました。

 それにしてもいつまで彼は“キムタク”を演じ続けるのでしょう?テレビ局は“キムタク”さえ押さえておけば、もう高視聴率は取れたも同然と思っています。そのために木村拓哉はずっと“キムタク”でなければならないのですが、いくら彼と言えどもこれだけ消費されていけば、少しずつすり減っていきます。今回視聴率が伸びなかった原因は脚本にあるとは思いますが、それを補うためにも過剰に“キムタク”が消費されてしまったので、ますますこれからの木村拓哉は“キムタク”であることに苦しむのではないでしょうか。少なくともテレビ局の自信ほどには、視聴者はもはや“キムタク”を求めてはいないような気がします。


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