幹事クリタのコーカイ日誌2002

 
 3月7日 ● 経験を積んでわかること。

 20代の頃の僕は、結構反抗的な若者でした。と言っても、あくまでも優等生の枠内での反抗ですから、実際には大したことはないのですが、とりあえず年長者から意見を押しつけられる(強制されたり説教されたり)と、それが妥当かどうかという検証以前に、押しつけられた、という事実のみでむくむくと反発する気持ちが沸き起こってしまうのです。

 お陰で会社に入ってから随分と損をしたと思います。上司や先輩、時にはクライアントが相手ですら、なにか言われると、すぐに反発していたので、扱いにくい若手だったかも知れません。ちょっと言われるたびに「喧嘩売っとんのか、受けて立つぞオラァ!」と言葉には出しませんでしたが、内心そう思いながらすぐにカッカしたものです。今でも少々それを引きずっているところはあるのですが、最近はそれでもかなり我慢することを覚えたので、何とかやり過ごせるようになりました。年を取って人間が丸くかつ狡くなったのと、経験でどう切り抜けていけばうまくいくかを学んだからです。

 逆に最近は自分に向かってそういう反発心を感じることがあります。近頃の若手は僕たちの頃に比べたらずっと生き方が上手になったというか、あまり軋轢を生じさせない立ち回り方ができます。ただ、時々そういうことが苦手なタイプがいて、昔の僕のように「なんで先輩だからって、そんなこと決めつけるんだよ」みたいなオーラを出している奴がいるのです。

 僕にしてみれば「どうしてわかんないかなぁ、それじゃダメなんだよ」と思うのですが、経験の乏しい彼には納得できません。「やってみなきゃわかんないじゃないですか」と詰め寄ってきますが、やってみなくたって、ダメなものはダメ、時間と労力とお金の無駄使いなんだから、とこっちは説得することになります。その姿は、昔、僕が腹を立てていた「経験だけで物を言うわからないオヤジ」そのものです。

 こうなって初めてわかることですが、僕が向かっていった先輩たちは、やっぱり同じような気持ちだったんだろうな、と思うようになりました。わかっていて僕の言うことにも耳を傾けてくれていたんだろうな、と。若い奴の無礼な抗弁をちゃんと聞いてくれたそういう先輩には、今さらながら感謝しています。そして、経験というものは、若い頃に思っていたよりもずっと大きな財産なんだなぁ、ということも最近は理解できるようになりました。ま、こうして人は少しずつ「前例主義」の古臭いオヤジになっていくのかも知れませんが。

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