幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 6月2日 ● 徒弟制度。

 昔から職人がその技術を継承していくには「徒弟制度」が一番でした。学校のように理論だけ抽出して教えても身に付けることが難しい技術というのは、多分言葉にしづらい呼吸のようなものがあるのでしょう。そのために、ぴったりと師匠の横に張り付いて、頭をこづかれ雑用・小間使いをしながら、弟子が技を吸収していく制度が必要なのだと考えられます。

 しかし、それは弟子にとっても師匠にとっても決して楽なことではありません。まるごと預ける方も預けられる方も、息が詰まるような近い距離感の中で過ごさなければならないからです。近年のように人との関係を極力希薄にしていこうとする世の中にあって、徒弟制度はすっかり流行らないやり方になりつつあります。

 我々広告クリエーティブの世界でも、昔は新人教育のための徒弟制度が多かったと思います。コピーライティングにしろデザインにしろ、今よりもっと職人技の世界でしたから、怖い先輩が怒鳴りながら新人をこき使っていたものでした。

 ところが最近は、直感と職人技に頼った広告制作から、もっと理論的・科学的な広告制作へと変わってきたので、新人教育の方法もそれに合わせて変化をしてきました。その上、徒弟制度のような親密な関係は、教わる側だけではなく教える側も面倒なので、ますます見かけなくなったのです。

 ところが、21世紀になって今さら僕はこの「徒弟制度」をやらなければならなくなりました。今年の新人を預けるから、1年かけてしっかり育ててやってくれ、と任されてしまったのです。今までコピーライター養成講座の講師をしたり、若手のコピーライターのアドバイザー的なことはしてきましたが、「親」として面倒を見るというのは初めてです。

 新人が僕の部署に配属になるのは来週月曜日。どんな奴かわかりませんが、多分「コーカイ日誌」では今後ネタ元として活躍してくれることでしょう。  

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