幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 4月21日 ● 最後まで踊らされた森首相。

 台湾の李登輝前総統へのビザを日本政府は発給することに決定しました。「人道的見地」からマスコミはこの決定を支持しているようですし、多くの日本国民も「台湾のおじいさんが心臓病の検査を日本で受けたいと言っているのに断るなんて可哀想でしょ」という反応のようです。

 しかし、この件を純粋に人道的な問題として、政治から切り離して考えるというのは、いささかお人好し過ぎるというべきでしょう。李前総統は胸を押さえて「ううっ、心臓が」なんて言いながらよろけている訳ではありません。ゴルフもやっているし、立ちっぱなしで熱弁も振るっているそうです。医療目的というのは、あくまでも訪日のための理由づけに過ぎません。本当に危ないのなら、日本の医師を台湾に呼べば良いのですからね。

 「ひとつの中国」を新世紀のテーマとしている中国は、親日派であり台湾独立運動の親玉である李前総統の日本における政治的パフォーマンスだとして猛反対、逆に台湾は陳総統をはじめ官民揃って李前総統を後押しするという大騒動になっています。すでにここまで騒ぎになっただけで、十分に李前総統のパフォーマンスは成功したと言ってもいいかも知れません。

 これは本来日本の対中外交の基本姿勢に関わる問題です。21世紀の日本は中国と台湾に対してどういう姿勢で臨むのか、あくまでも中国との関係を緊密にするのなら、今回ははっきりとビザの発給を断るべきです。逆に台湾とも現在のような民間だけの交流ではなく、今後はひとつの独立国家としてきちんと認めていこうということなら、当然李前総統を受け入れるにあたって、中国にそれを説明し理解を得るべきでしょう。まあ無論理解なんて得られるはずもないと思いますが。

 そのあたりの姿勢を明確にしないままに、場当たり的に対応しているから、今回のようなバタバタとしたみっともないことが起きるのです。そして、その元凶はまたしても森首相の「その場限りのリップサービス」のせいです。彼が昨秋にビザ発給の言質を台湾側に与えたことが、今回の騒動につながったわけですからね。本当に、最後の最後までやってくれます。

 そして、それをまた現在行われている自民党総裁選での駆け引きに使われているのが、また情けない話です。こんな外交上の大問題まで政争の具に使う自民党の体質は、トップが変わったくらいでは絶対に変わらないでしょうね。

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