幹事クリタのコーカイ日誌2001

 
 3月29日 ● 無意味な東大合格者数報道。

 この時期になるとかつては「サンデー毎日」と「週刊朝日」が競って掲載していた高校別の東大・京大合格者数の記事ですが、今ではあまり大きく扱われなくなりました。と言うのも、大学が合格者名を公表しなくなったために、正確な数字が割り出せなくなったからです。

 以前は合格者名からそれぞれの雑誌が独自のルートで高校を探し当てて、高校別のランキングを作っていました。当時の両誌の騒ぎっぷりは凄まじく、日頃学歴社会批判をしていながら、高校ランキングに狂奔するとはいかがなものか、という批判を浴びていたのを思い出します。

 さらにその昔は、大学側が高校名まで含めて発表してくれていたので、ランキングは即座にわかりました。毎日のように新聞に大学合格者の氏名が高校別に掲載されたものです。僕が大学受験をした時も、友人が合格したのか落ちたのかすぐにわかって便利だった反面、これはプライバシーの侵害だよなぁ、と思っていました。だって落ちたことがわかってしまうのはもちろん、受かっていたって個人情報の漏洩という意味では変わりありませんからね。

 ところが今は合格者名すらわからないのですから、さすがに週刊誌も調べようがありません。ランキングを作るにも、結局高校に直接取材して教えてもらうしか手がないようです。

 今週の「週刊朝日」の東大合格者数速報では開成176、灘94、ラ・サール87、麻布84などとなっています。まあこのあたりは僕たちの頃からあまり変わっていません。ランキングを見るとずらっと私立高校。「国公立はダメになったのかな」と思って記事を読むと、実はそうではなくて、高校側が公表しないからランキングに入っていないだけのようです。

 学芸大付、筑波大付などは公表せず、筑波大付駒場は浪人の分は把握できていないから正確な数字ではないとか。県立千葉や大阪教育大附天王寺、県立旭丘なども入っていないと記事中にありました。私立高校は合格者実績がそのまま宣伝になるのですから積極的に公表するのもわかりますが、国公立高校は週刊誌の記事作りに協力する義理はありません。もちろん私立高校だってポリシーがあれば公表しない学校もあることでしょう。

 さらに考えれば、公表している数字だって本当に正確かどうかはわかりません。高校側が良く見せようと水増しした数字を発表したところで、週刊誌には裏付けの取りようがありませんし、大学側もそれを敢えて指摘したりはしないでしょう。名門進学校という評判を獲得したかったら、週刊誌に「今年の我が校の東大合格者数は40人、京大は30人でした」なんて言っておきさえすれば良いわけです。そりゃ3倍も4倍も水増しすればおかしいと思われるかも知れませんが、5人や10人増やした程度だったら多分わからないでしょう。

 果たしてそんな不正確な数字に記事としての意味があるのでしょうか?これでは単に一部の高校の宣伝媒体になっているだけで、とても報道とは言えないのではないかと思います。もはや20世紀の遺物のようなこの手の記事は、今年限りでやめてはいかがでしょうか?

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