学問にもプラグマティックでとにかくすぐに金儲けに直結するような分野がある一方で、果たして知的好奇心を満たす以外、なんの役に立つのか、というような分野もあります。もちろん、その分野の学問での発見が、巡り巡って金儲けにつながることもあるかも知れません。しかし、それより純粋に「知りたい」という欲求を突き詰めていくロマンティックさが、こうした学問の魅力だと思います。
今回「最古の旧石器」発掘をねつ造したとして大騒ぎになっている考古学など、そういう意味ではプラグマティック度はゼロに近く、逆にロマンティック度は100という学問です。名作コミック『MASTERキートン』の主人公も考古学者でした。作者が考古学を選んだ気分はよくわかります。全然儲からないけど、そこがまた良い、という分野の学問のトップランナーが考古学だからです。
普通に考えれば、そんな金儲けにもならないような学問において、ねつ造してまで成果を上げてどうするんだ、と思いますが、逆に言えば、趣味の延長線上にあるような学問だけに、実より名が重いとも考えられます。藤村新一という人は、旧石器時代の遺跡発掘の第一人者で、数々の発見をして「掘れば当たる」と言われるほどのカリスマだったそうです。いわば考古学界のイチローのような人だったのでしょう。しかも彼の考古学は独学だったそうです。まさに趣味の延長線上に、藤村の遺跡発掘はあったのです。
そんな彼だけに、発掘のたびに「なにかまた発見しなければ」というプレッシャーもきつかったのかも知れません。実需に役立たない学問だからこそ逆に起きてしまった事件かも、という気がしてなりません。
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